参天製薬の目薬「サンテボーティエ」にエスエス製薬の「イブクイック頭痛薬」、小林製薬の角質軟化剤「ニノキュア」など――。日本を訪れる中国人客らに大人気のこうした10あまりの商品は、ガイドブックなどで「神薬」と紹介され、爆買いの対象となっている。東京・銀座の数寄屋橋近くにあるドラッグストア「マツモトキヨシ」では、中国語が飛び交い、こうした商品を買い求める外国人がしょっちゅう列を成している。

 わざわざ日本に来てドラッグストアでそんなに爆買いしなくても――。そう思う人も多いだろうが、こうした商品は中国では手に入らない。だからこそ、日本を訪れる外国人観光客は、人気の商品を山のように買い求めていく。

 しかし、日本企業にとっては、国外の客へ直接販売しようにも、こうしたインバウンド客に対してしか売る術がない。日本企業が中国本土で医薬品を販売する場合、商品をそのまま持っていくのではなく、日本の薬事法に当たる法律に基づき、中国で許認可を受けなくてはならないからだ。需要は大きいのに、販売機会が限られる。企業と購買客の双方にとって歯がゆい、そんな現状を打破するため、中国最大のEC企業であるアリババ集団が2015年末に動いた。

都内のドラッグストアには、“神薬”を求めて多くの中国人観光客が訪れる。(写真=時事通信フォト)

 アリババが、自社が運営する越境ECサイト「天猫国際」(Tモール・グローバル)の規約を改正したことはあまり知られていない。同社は、2015年12月15日から第2類と第3類の医薬品販売を解禁した。この密かな変更が、越境EC拡大の起爆剤となる可能性がある。

 というのも、サンテボーティエなど神薬の多くは医薬品の2類か3類。この解禁により、中国の消費者は、日本をわざわざ訪れなくても、なじみ深いインターネットサイトで、大人気の商品を購入できるようになった。