良い店を作るためにできた委員会

 合宿を経て、共栄会には2つの委員会が立ち上がった。「HDC教育委員会」と「キャンペーン推進委員会」だ。

 HDCとは、Hospitality(心のこもったおもてなし)、Delicious(安心、安全で高品質なおいしい商品の提供)、Cleanliness(磨き上げられた清潔なお店)の略で、店の運営で大事にしているもの。外食業界で言われるQSC(品質、サービス、清潔さ)のようなものだ。このHDC教育委員会は商品やサービス、店の水準を上げていくための具体的な活動を考えて、本部と相談しながら、実行に移していく。冒頭に書いた製造勉強会は、このHDC教育委員会の活動の一環だ。

 もう一つのキャンペーン推進委員会は、商品の販売促進について、自分たちで考えてアイデアを出していく。販促活動のベストプラクティスを共有するのはもちろん、スタッフが考案した限定商品を具現化して、全国発売につなげている。

値上げを機に全国で行われた製造勉強会の様子。実際の店舗などで450回以上開催した

 従来から共栄会で行っている活動も、合宿を経て変化した。モスバーガーは、オーナーや店長が他の店を訪問して商品やサービスなどをチェックし合うコンテストを年2回実施している。以前は“評価”する面が否めなかったというが、今は「こんな風に改善するともっといい店になりますよ」と褒めて伸ばす方向性に変わったという。

 モスバーガーは、良くも悪くもマクドナルドと比較されることが多かった。一等地に出店し、素早い提供や価格の安さなどを売りにして成長してきたマクドナルドに対して、モスは駅前よりも住宅街に近い二等地で、注文を受けてから作る。単価もマクドナルドに比べて高めで、対照的だ。早くから野菜の国産化や生産者の表示に取り組み、「ライスバーガー」やナンを使ったドッグなど、ユニークな商品を出して、日本発祥のハンバーガーチェーンとして独自の道を歩んでいる。

 こうした“文化”を大事にしつつも、時代の変化に合わせた戦略をいかに考えて、どのように実行に移していくか。そのためには、本部とFCが一丸となることは不可欠だ。こうした一体感はお客全員の目に見えるものではないが、不思議なもので、商品やサービス、店の雰囲気を通じて、少しずつでも伝わる。記者がふと感じたバーガーの“美しさ”は、そんな一例だったのではないかと思う。