延命治療はしないと選択

 会の終了後、安崎氏は記者会見を開いた。移動は車いすだったものの、質疑応答に対して時に笑顔を交えながら終始はっきりとした口調で受け答えしていた。

 引退後のこれまでの余生は、人のため、家族のため、自分のため、という3つの分野に時間を大きく分け、旅行や趣味である読書やゴルフなどを楽しんでいたという。

 安崎氏は終活のあり方について、年齢や病状、家庭環境など個々人によって考え方や価値観は異なるとしたうえで、「人生で巡り合った人たちと握手し感謝を伝えることができ満足している」と語った。様々なリスクを伴う延命治療などには否定的で、「人生楽しんできた。ジタバタしたくない」という自身の死生観を説明した。

 近年は昭和風のやや画一的で本格的なお葬式に対する反動もあって、費用対効果を重視する家族葬など小規模なものにシフトしつつある。ただ、一方で「亡くなったことを関係者が後から知ることも多く、友人や職場関連など社会的な関係を整理する機会が乏しくなった」(葬祭業界の関係者)との声もある。

 そこで、生きているうちに何かできないか、とのニーズがジワリと高まっているようだ。クラブツーリズムが先月から生前葬のプロデュースや、エンディングノートの書き方といった講座開催など終活ビジネスに本格参入したほか、公益社なども強化している。

 もちろん、どのような最期を迎えたいか、終活のあり方、葬儀の形は人それぞれの価値観や事情によって違う。どれが正解、といったものはない。

 ただ安崎氏のように、自分は公私ともに充実した人生を送ることができた、というある種の達成感をもって晩年を迎えることができるのは幸せだと思う。