米国民にも忘れられかけている

 というのも記者は、この取材の直前、少しだけ時間が空いていたのでキャピトルヒル近くの「Newseum」という博物館に立ち寄っていた。報道(News)をテーマにしたワシントンらしい博物館(Museum)だ。

記者が訪問中、ちょうど子どもたちが見学に来ていた

 見学の子どもたちに混じって館内を歩いていると、First Amendmentに関する展示に出くわした。そこでは街頭インタビューの映像が流れていた。「First Amendmentの権利を全部、言えますか?」とインタビュアが聞くと、大抵の人が「宗教の自由」「報道の自由」までは出てくるのだが、「請願権」まで答えられる人はほぼいなかった。

First Amendmentの文面

 博物館には「Fake News」(ウソのニュース)とメディアを痛烈に批判するトランプ氏に関する展示もあった。

言うべきことを言わない方が恥ずかしい

 こうした展示を見た直後の取材だったので、彼女の発言には重みを感じた。First Amendmentが200年以上も前に成立し、「国民が議会に物を言う権利」と共に歩んできた米国。ロビー活動は、本来は悪の象徴ではなく、基本的人権であり、民主主義を支える礎なのだ。だが、米国でビジネスを展開する日本の企業はもちろん、当の米国民ですら、その権利をないがしろにしつつある。それを彼女は記者に伝えたかったのだ。

 ワシントンの比喩としてよく使われる言葉にこんなものがある。

 “If you are not at the table, you are on the menu”

 (発言のテーブルに着かなければ、食われるだけ)

 ロビーをする(言うべきことを言う)ことは、何も恥ずかしいことではない。逆に言うべきことを言わないことを恥じるべきなのだ。