銀行は本当にサービス業になったのか?

 大半の銀行で、営業窓口が開いているのは平日の午後3時まで。仕事や家事で忙しい平日に銀行に行こうと思っても、営業時間外で間に合わず、悔しい思いをした人も少なくないだろう。

 1990年代後半の金融危機以降、公的資金の注入を受けた銀行の多くは「金融サービス業」としてリテール(小口・個人)分野への注力を宣言してきた。しかし、顧客との最も重要な接点である窓口はほとんど変わっていない。

 銀行法と施行規則を読むと、「営業時間は午前9時から午後3時までとする(条件を満たせば変更可能)」、「銀行の休日は、日曜日その他政令で定める日に限る」との内容になっている。つまり、「最低でも、ここまでは営業してください」と定めているだけで、銀行がそれ以上の日時に営業を拡大することについて制約はない。要は、銀行側の方針次第なのだが、りそなのように本格的な休日営業に踏み切る動きは広がっていない。

受付や手続きはタッチパネルで済ませる
受付や手続きはタッチパネルで済ませる

 確かに現金を扱う銀行では、防犯上の理由もあって、長時間営業や土日祝日の営業などは難しい面もあるだろう。しかし、それも考え方次第でクリアできるように思う。豊洲支店は土日祝日の営業中に現金を扱わない。現金の引き出しや振り込みは支店が入るビルの1階に置いたATMで対応する。

 サービス業の世界では、出店する地域の顧客層やその動向に応じて、店の機能を柔軟に切り替えるのは当たり前だ。そういう意味では、多くの銀行の支店はサービス業の常識から外れているように見える。

 りそなは2003年に公的資金の注入を受け、実質国有化された。2015年には公的資金を完済したが、早くから窓口営業時間の延長に取り組むなど独自色の打ち出しに苦心してきた。

 ITと金融の融合を指す「フィンテック」という造語が流行し、新たなサービスが次々と生まれている現在。これまでと同じような横並びの銀行経営が、支持されなくなる日はそう遠くはない。銀行が長く保ってきた業界内の常識は早晩通用しなくなる。裏を返せば、そこに早く気付いた銀行が真の「リテール勝者」になるのだと思う。