人手不足の時代は客単価アップの好機でもある

 もっともそうした状態は、悪いことではなくてむしろ企業にとっても望ましい状態だ。以前より、多くの人が職に就き、時給が上昇して前よりも収入が増えているということは、それだけ消費にも積極的になるためだ。実際、an編集長の上土氏によると高単価商品を投入し、客単価アップを図る動きが活発化しているという。狙い通りに客単価アップを果たせば、人件費の増加も吸収できる。

 従来より高価な商品を売るには、お客から信頼される優秀な人材が欠かせない。外食専門のコンサルタント、アップ・トレンド・クリエイツの代表の白岩大樹氏は「スタッフとのコミュニケーションが、今まで以上に重要になる」と話す。

 人手不足による採用条件の緩和で、店側から要請してもシフトに週1、2回しか入ってくれないスタッフが増えている。そうした条件で集めた以上は致し方ないことだが、だからこそスタッフが足りないときにシフトに入ってくれるモチベーションの高いスタッフを見出すことが今まで以上に大切になる。同時に、そうしたスタッフは仕事への取り組みも熱心なので必然的に接客スキルも高くなり、高単価商品を売っていくうえでも欠かせない戦力になるはずだ。

努力をほめることが大切

 問題は、店側に協力して積極的にシフトに入ってくれるスタッフをどうやって見出すかだが、それは店長や社員がスタッフの働きぶりを日頃からよく見て、「何か新しい仕事を覚えたり、良いサービスでお客に喜ばれていたら、それをほめることが大切」と白岩氏は指摘する。外食で働く人は基本的に人とコミュニケーションを取るのが好きか、あるいはそうしたスキルを高めたいと思っている。その努力をほめることで、初めて店への帰属意識や参加意識が芽生える。店で働くことに満足しているスタッフは友人・知人を新たなパート・アルバイトとして紹介してくれる可能性も高い。それは、求人費用の節約にもなる。

 今後、さらに人手不足が進むことで外食企業はお客からだけではなく、従業員からも「選別」されていることを一層意識せざる得なくなる。そうした傾向は外食にとどまらず、他産業にも広がっていくはずで、やりがいを感じられる職場作りがあらゆる職場で今まで以上に求められるだろう。

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