実は2017年以降の放映権交渉で、Jリーグ側はこれまでスカパー!が行ってきた映像制作を自ら手掛けるように変更すると通達していた。Jリーグ側にも海外主要リーグと同じように自前で映像制作に乗り出したいという独立心が芽生えたためで、スカパー!が10年間で培ってきた映像制作ノウハウは評価の対象外に置かれることになった。

過去と逆の立場になったスカパー!

 放映権は手放すことになったが、小牧氏はパフォームグループとサブライセンス(再供与)について水面下で交渉を進めていた。全試合の放送が難しくても毎節数試合分をスカパー!で放送できればという算段だったが、関係者によると、サブライセンスを受ける試合数について両者の間で大きなギャップがあり、それが最後まで埋まらなかったため、交渉は決裂したという。

 「スポーツビジネスはシビアな世界。我々はかつて日韓W杯を民放各局より優位な条件で放送した。WOWOWからセリエAの放映権を奪ったこともあった。今回は逆の立場になったということ。あれだけ放映権料で差があったらしようがないと諦めるしかないよ…」(小牧氏)

 ただ、小牧氏はJリーグから完全に撤退する考えを持っているわけではない。

 「天皇杯については放送できるメドがついた。ルヴァンカップ(Jリーグカップ)も放送できるようにマスターライセンスを持つフジテレビと現在、交渉しています」。2つの国内カップ戦を軸に、海外リーグの試合を加え、24時間サッカー関連番組を流す専門チャンネル「スカサカ!」を今年2月に開局する予定だという。

 「これからも我々はJリーグを応援していく。各クラブチームとのお付き合いも続けていくつもりです。(パフォームの契約が切れる)10年後…もしかしたらそれより早くチャンスが回ってくるかもしれません。通信サービスはアクセスが多いと輻湊する問題もある。突然の事態になっても、我々はいつでも準備は整えています」(小牧氏)

 経済原理に照らせば、スカパー!だけが放映権を独占していた状態によるマイナス面があったのも事実だ。実際、パフォームの参入で放映権料が跳ね上がった結果、2017シーズン以降、Jリーグの優勝賞金、各クラブへの分配金は引き上げられることが決まった。クラブの資金が増えれば、海外のスター選手を呼び寄せることもできるし、これまで以上に育成やファンサービスにも力を注げるようになるだろう。

 少し情緒的に過ぎるかもしれないが、苦しい時にそっと手を差し伸べ、上向きの状態になったら一歩引いて温かく見守るのが親心というもの。その意味では、「育ての親」であるスカパー!の役割はちょうど区切りを迎えた時期に来ていたのかもしれない。

鹿島サポーターが掲げた「SPIRIT OF ZICO」の横断幕。Jリーグ開幕時のような盛り上がりが再来するのだろうか