まずは意欲的な目標だが、どのような道筋を描いているのか。

 最初のカギを握るのが選択と集中だ。IHIは現在、主要な製品群・事業単位となるユニットを36持っている。だがこうバラバラと細かくてはグループ全体として散漫な動きになると判断。事業戦略の企画立案・遂行をもっと効率的に進めるため、まずユニットを27に減らす。IHIでのユニットのくくり方は、例えば「ボイラ」「車両過給機」「パーキング」「橋梁・水門」「航空エンジン」「ロケットシステム・宇宙利用」といった製品別の形だ。

低採算事業からの撤退断行を宣言

 そのうえで営業利益率、ROIC(投下資本利益率)などの水準をもとに、各ユニットを虎の子の「成長」「収益拡大」から「主力」、「収益改善」「対策」まで5段階にランク化。ランク分けの際の具体的な数値基準は明らかにしていないが、投資は上位10ユニットを優先するとした。逆に下位とされる10弱のユニットは将来性や社会への影響などを見極めつつ、テコ入れするのか、はたまた縮小・撤退・売却するのかを決断。計画が走り始めて2年以内(18年3月期末まで)に断行するとした。斎藤保社長は「最適な事業ポートフォリオへ、遅れがちであった事業戦略を着実に実施していく」と意気込む。

 額面通りに受け取れば、今後、複数事業のリストラ、事業売却などへつながっていきそうだ。多様な製品を扱うIHIには小規模な事業も多いため、会社全体の形が変わるほどの大規模な事業再編につながる可能性は現時点では低いとみられるが、全体の利益率を押し下げてきた事業に、期限を切ってメスを入れることを宣言した意味は小さくない。新興国の経済成長で中長期的に航空機エンジンの需要拡大が見込める航空・宇宙・防衛事業(今期予想の営業利益率は9.6%)などの比重が相対的に重くなりそうだ。

一方、売上増のシナリオは語られず

 一方で、低採算事業から撤退したのちに、集中した分野でどのように売上高を伸ばすのかが、発表内容では判然としない。IHIほどの規模の企業が、売上高を伸ばしつつ、営業利益率を倍増させるのは大変なことだ。どのセグメントがどのくらい稼ぐのか、株主にとってはその青写真がぜひ知りたいところだろう。利害関係者が計画の妥当性について検証し、議論しようにも、これではどうにもならない。アナリストらの目が冷たかった理由はここにある。

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