ベンチャー投資がイスラエルに集中する

 チェック・ポイントやモービルアイは、先端技術によって外国企業から注目されるイスラエルのベンチャー企業の一部にすぎない。この種の企業への投資は、ベンチャー・キャピタル(VC)と呼ばれる。 

 イスラエルのベンチャー企業に詳しい調査会社IVC・ZAGによると、2017年に同国に流れ込んだVC投資額は、52億4000万ドル(約5800億円)。前年に比べて8.5%増えた。投資件数は前年比で減ったが、これは1件あたりの投資額が大きくなったことを示している。投資された金額が最も多かったのはソフトウエア企業で、19億ドル。さらに生命科学関連企業(12億ドル)、半導体メーカー(3億4800万ドル)が続く。

 OECD(経済協力開発機構)によると、イスラエルのベンチャー企業に対する投資額のGDPに対する比率(2016年)は約0.38%で、世界一である。その比率は日本の約10倍、ドイツの約17倍だ。イスラエルのベンチャー企業への四半期ごとの投資額は、2014年末までの7年間で約12%増加した。

 また前出の「ギークタイム」などによると、イスラエルの国民1人あたりのVC投資額(2015年)は、553ドルで世界最大。米国(233ドル)にさえ大きく水をあけている。

 イスラエル企業の非凡さは、米国の電子株式取引市場ナスダック(NASDAQ)にも表れている。2018年11月19日の時点でナスダックに上場しているイスラエル企業の数は97社。外国企業としては、中国(164社)に次いで世界で2番目に多い。日本の13社、ドイツの10社を大幅に上回る。欧州のナスダック上場企業の数を合計しても、イスラエル一国に及ばない。

 ちなみに、ナスダック上場企業のうち、株式時価総額が最も大きい103社(金融業界を除く)は「ナスダック100」と呼ばれる。そのリストには、アップル、マイクロソフト、フェイスブック、インテル、シスコ、アルファベット、テスラなどの有名企業がずらりと並ぶ。いわば米国テクノロジー界のチャンピオンのリストだ。

 この中に、イスラエルの企業が2社入っている。ソフトウエアメーカー、チェック・ポイントとEコマース関連企業のメリだ。日本とドイツの企業は1社もない。

 イスラエルに各国の投資家が注目する理由の一つは、この国が「知の凝集国家」であるからだ。OECDによると、イスラエル企業が研究開発(R&D)のために支出する額のGDPに対する比率は、4.25%で世界最高。この比率は日本(3.49%)よりも約0.76ポイント多い。さらにイスラエルの被雇用者1000人あたりの研究者の比率も17.43人と世界で最も高くなっている。日本(9.96人)を約75%も上回る。

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