山根:そういう活動のさなか、4月16日の午前1時25分に、再び「震度7」という本震が見舞いましたが、その時はどこにいらっしゃった?

小清水:野営のため消防学校のグラウンドに大きなテントを張り、そこで仮眠をとっていました。

山根:地面からもろに凄まじい揺れを受けた?

再び「震度7」、空を確かめ、空想と体験を駆使

小清水:下から突き上げるような揺れでした。すぐに飛び起き、被害が出たという情報が次々に入りましたので全隊が直ちに出動準備体制をとりました。

山根:揺れの直後にまずとった行動は?

小清水:テントから飛び出して、被災した住宅地の空の上を見ました。火災が起これば煙が上がったり空が赤くなりますので。これは本能的な感覚ですね。

山根:さすが消防マンだ。それから……。

小清水:益城町役場周囲の被災がひどかったんです。そこで、町役場にある現場指揮本部に直ちに行きました。到着してすぐ、近隣の住民の方から、「家が潰れて中に人が取り残されている」という情報が入りましたので、十数隊を率いて現場へ急行し、救助隊を投入しました。

山根:結果は?

小清水:高齢の男女お二人が倒壊した家屋内に閉じ込められておりましたので、救出活動を行っています。救出はできましたが、1名は重傷、1名はすでに心肺停止状態でした。

山根:倒壊した家屋内に潜り込んでの作業は、どのように?

小清水:声をかけながら進みますが、救助隊の車両には20~30種類の資機材を積んでいますので、それらを駆使します。油圧のジャッキなどで倒れた壁を持ち上げてスペースを広げ、隊員が中に入ります、私たち自身の安全を確保しながら。

山根:たくさんの資機材を、どううまく使うかは技術的にも難しいでは?

小清水:それは、日頃訓練をしています。また、そういう資機材のスペシャリストが集まっていますので、それをふまえて隊長が判断して活動を進めます。

山根:倒壊した家屋内に入っても、どこに被災した方がいらっしゃるのかを見つけるのは大変でしょう?

小清水:それも、日ごろ養った経験を活かします。たぶんこのあたりが居間だろう、日ごろ居住している部分はどこかといったことを考えつつ進むんです。

山根:そういう空想力が大事?

小清水:それと、経験です。火災の消火活動時も同じです。

山根:指揮をとる者にとって、部下の消防士に「おまえが行け!」と言わなくてはならないわけですよね。隊員が入った後、家屋がさらに崩れて閉じ込められる二次災害もあり得ますよね。それは指揮官としても非常に厳しいことでしょう?

小清水:現場の隊長は、状況をみて決断して行かせないといけない。しかし救助隊は日頃から訓練を重ねていますので技術的にも能力が高い。隊長、隊員の信頼関係があってこそ、救助活動は可能なんです。今回は、私は隊長に指示をする役割でしたが。

【2016年04月16日(土)の活動記録】
01:25 地震発生(熊本地方 震度6強→後に震度7に訂正)
01:52 北九州指揮隊、北九州救助小隊⇒熊本県益城町役場へ出動
    ・益城町役場東側の倒壊建物から要救助者2人救出
02:00  北九州救急小隊⇒転院搬送で出動
02:05 北九州消火小隊⇒益城町内の警戒パトロール開始
03:07 地震発生(阿蘇地方 震度5強)
03:25 北九州指揮支援隊から、「14日の地震よりも16日の地震での被害の方が大きい、
     派遣隊については全員無事」との連絡
03:56 地震発生(阿蘇地方 震度6強)
04:30 北九州救急小隊、熊本県消防学校に帰校
05:30 北九州救急小隊、熊本市内の病院から福岡県久留米市内の病院に
     産科患者を広域搬送
06:10 北九州救助小隊、大字平田の倒壊家屋の救助現場へ応援出動
07:00 北九州消火小隊、熊本県消防学校に帰校
07:20 国から北九州市消防航空隊に出動の求め
07:35 北九州指揮隊⇒粕屋南部指揮隊と現地交替
07:45 北九州市消防航空隊5人を空路で熊本空港に派遣
    ・派遣人員(操縦士1人、救急救助隊員4人)
    ・北九州市消防ヘリコプターが点検中のため、
     北九州空港で宮崎県防災ヘリに乗込み熊本空港へ出動
08:10 後方支援隊は益城町内の警防調査
09:00 北九州救助小隊、他の救助隊と現地交替
09:20 北九州救助小隊、熊本県消防学校に帰校
09:33 宮崎県防災ヘリで熊本空港着陸、熊本県防災航空隊の地上支援を実施
10:15 北九州指揮隊は、熊本市内の病院において、患者の搬送先の選定、
     搬送救急隊選定の指揮
11:25 北九州救急隊は熊本市内の病院に出動
13:30 北九州指揮支援隊
     ・熊本市消防局から益城町健康福祉センターに活動拠点を移し、指揮活動を実施
14:15 北九州救急小隊、熊本市内の病院から2件の転院搬送を実施、
     熊本県消防学校に帰校
14:20 北九州指揮隊、熊本県消防学校に帰校
15:45 北九州指揮支援隊は、熊本市消防局から熊本県消防学校へ活動拠点を移動
17:40 北九州市消防航空隊、日没で活動を終了して熊本空港で宿泊待機
20:50 福岡県からの指示⇒第2次派遣隊は17日の12時に現地交替
21:00 各消防署に第2次派遣の実施を連絡

次ページ 彼らは教訓を胸に、日々訓練を重ねてきた