熊本地震で被害を受けた益城町の避難所。食事の配給には長い行列、地面には傷跡がくっきりと。何を、いかに伝えるか。報じる者の姿勢が問われている(写真:Abaca/アフロ)

 2016年4月14日、「熊本地震・前震」の発生後、多くの報道陣が現場入りした。そのテレビ中継や取材が継続中の16日未明に震度7の「本震」が見舞ったため、私たちは、日本では観測史上5回目となる「最大規模の地震」のさまをリアルタイムで「見る」ことになった。

 巨大地震の震源地からのリアルタイム中継をテレビの全系列局が行ったのは、日本の報道史上に残るできごとだった。

現場にBGMはない

 ある民放局は、4月16日未明の「本震」発生と同時に滞在先のホテルの自室から飛び出し屋外へと避難する若い女性レポーターの興奮した映像を放送した。
 そのカメラは、ホテルの廊下で出会った2人の若い女性従業員がとった行動もとらえていた。従業員といえども一刻も早く屋外へ避難したかっただろうに、2人は客室を1室ずつノックして「だいじょうぶでしたか」と確認していたのだ。

 そのさまは、沈没前のフェリーから真っ先に逃げしたあの船長の姿と対極をなすもので、深く感動した。若い2人の女性の行動は、日本人の資質の高さを物語っており、同じ日本人として大きな誇りを覚え、感謝でいっぱいだった。
 意図せず偶然撮れた映像とはいえ、巨大地震の被災地にいち早く入ったテレビ報道陣だからこその、大きな成果だった。

 しかしその一方で、テレビ報道がこの巨大災害をドラマ仕立てにしているケースが少なくないことには、大きな違和感を覚えた。2回の「震度7」をふり返るワイドショーの番組では、倒壊した家屋から救出される被災者の姿などの映像に、いつもの仰々しいアナウンスとともにBGMをかぶせていた。これには正直、腹が立った。「災害はエンターテイメントじゃないんだぞ!」。

 ネット上には、テレビ報道の無神経な取材への批判が多く書き込まれている。

 そこで思い出したのが、私がパソコンに記録しておいた、以下のメッセージだ。

 テレビ報道関係者のかたへ(意見)
 地震関連のテレビ報道関係者がみておられましたら、これを読んで下さい。