ところで、1884年に最初の震度階級が定義されて以降、何度も繰り返されてきた改訂での問題点の一つは、階級数が統一されなかった点だ。

「7→8→10」の変遷と混乱

 1898年(明治31年)から1936年(昭和11年)までは7階級だったが、1949年(昭和24年)から1996年(平成8年)までは8階級、そして現在は10階級に増えた。これは、「1時間は40分です」と言ったかと思うと次は「1時間を50分にしました」、「このたび1時間を60分にしました」とやってきたようなことなのだ。

 私たちの頭の中にある数字の階級の標準は「10進法」だ。例外として時間の「60進法」や1年の月数の「12進法」などのモノサシも頭に入っているが、「7進法」は曜日では使われているものの、「強さの7段階」は日常生活では縁がない。しかも、頭が「1」ではなく「0」。実際の階級が「10進法」になっても、「最大震度7」を死守してきたことも、報道番組で「震度7以上」だの「震度8」だのという、おバカな発言が出てしまう原因と思う。

 幾度かの改訂でも震度階級の最大を「7」にこだわってきたのは、過去の震度との比較で混乱が生じないための措置だと聞いたことがあるが、巨大地震の報を受ける市民感覚への配慮には欠けている。

 では、これまでこの問題が論じられたことはなかったのだろうか。

 気象庁は何度か「震度に関する検討会」を開催していた。

 2009年に行われた「震度に関する検討会」の『検討結果報告書』は、こう記している。

 震度は、地震による揺れの強さを総合的に表す指標で、防災対応の基準として利用されています。同じ震度でも、建物、構造物や地震動の性質で被害の様相は異なります。このため、ある震度に対し、その周辺で実際にどのような現象や被害が発生するかの目安を示すものとして、平成8年に「気象庁震度階級関連解説表」を作成しました。この表は、新しい事例や耐震性の向上等により、実状と合わなくなった場合には内容を変更することとしています。

 同表の作成から10年が経過し、その間、いくつかの規模の大きな被害地震が発生しました。また、各地方公共団体が設置した震度計が更新の時期を迎え、具体的な配置基準が課題となっていました。こうした背景を踏まえ、震度観測に関する課題を整理するとともに適切な震度観測に資するため、消防庁と気象庁の共同で、学識経験者及び行政委員より成る「震度に関する検討会」(座長:翠川東京工業大学大学院教授)を設置し、検討を進めてきました。平成20年12月より、計5回の検討会を開催し、各課題について、検討結果を取りまとめました。

 震度階級ごとの被害の基準などの検討は行われたが、「震度階級を10進法にすべき」という論議は行われなかったようだ。

 ちなみに、この検討会の委員には学識経験者として、TBSテレビや日本テレビ、時事通信、NHKの担当者も加わっていたのだから、「報道で間違って伝えることがないように、震度階級は10進法にして、最大震度も10にすべきだ」と発言してほしかった。