日本において1884年(明治17)に初めて定義された地震階級は「微、弱、強、烈」の4階級だったが、その後、何度も改訂が繰り返されてきた。その変遷は、震度の定義の難しさを物語っている。

 震度は、地震のエネルギーの強さそのもの(通常はマグニチュードで示す)を意味しているのではなく、各地点の揺れの程度や被害、影響の度合いを示す数字だ。

 震度7=耐震性の低い木造建物は、傾くものや、倒れるものがさらに多くなる。(「震度と揺れ等の状況(概要)」気象庁による)

 というように。

広く伝えられている新震度階級パンフレット(気象庁)

「社会系規模」の定義の難しさ

 マグニチュードは「理科系の地震規模」であり、震度は「社会系の地震規模」ということもできる。

 混乱の元は、その「社会系の地震規模」の定義の難しさにある。

 かつて、地震の揺れの程度は「漢字」で表現していた。

 私が子供時代に愛読していた地学の図鑑には、「烈震」とか「激震」という言葉が記されていて、文字通り激烈な印象を受けた記憶が残っている。だが、地震による揺れの強さの階級を「漢字」で表現するのには、無理があったのだろう。

 長く使われてきた、

 無・微・軽・弱・中・強・烈・激

 といった漢字による階級表現には、重さや容量の階級(微・軽)、エネルギーの階級(強・烈・激)、汎用の程度の階級(無・微・中)などが使われ、ごっちゃに当てはめていた。そのため、これらを階級として並べても、一般の人は地震の揺れの大きさの大小が直感できなかったのだろうと思う。

 先に「文字通り激烈な印象を」と書いたが、地震の階級にしたがえば、「烈」よりも「激」の方が大きいので「烈激」と書かねばならないが、日本語には「烈激」という単語はない(いくつかの辞書で調べたが)。地震階級では、漢字での階級(序列)を無視していたことになる。

 つまり、社会的、文化的通念にしたがうと、漢字で表現する震度階級は理解を妨げる。

 1995年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)のあと、気象庁が震度を数字のみの「0~7」(8階級)に改訂したのは、そういう社会的、文化的問題が理由だったのかもしれない。

 日本の震度階級は、その後の大規模地震で震度と被害程度に乖離があったことから、「震度5」を「5弱」「5強」に、「震度6」を「6弱」と「6強」にわけ、詳細な被害の度合いをもとに10階級にしたようだ。