私たちは、都市の大火にどう向き合えばいいのか……。
 近い将来、東京を確実に襲う「マグニチュード8.2~7.3の巨大地震」(東京都総合防災部は、東京湾北部地震、多摩直下地震、元禄型関東地震、立川断層帯地震の4種を想定)によって発生する地震火災にどう備えればいいのか、備えは可能なのか、糸魚川大火は何を物語っているのか。

 2016年12月26日、糸魚川大火(糸魚川駅北火災)から4日目、現場を目の前に見ながら、十数年にわたる親交がある元消防マンの山家桂一さんに電話をかけ話しあった。

 
右・元・北九州市消防局の消防マンの山家桂一さんと。(写真・山根事務所)
右・元・北九州市消防局の消防マンの山家桂一さんと。(写真・山根事務所)

 山家さんは、北九州市消防局長、北九州市小倉南区長を経て、現・北九州市立いのちのたび博物館副館長だ。

復旧へ向けての糸魚川市の対応は迅速で大火から3日後、12月25日午後4時には被災区域内の市道のがれきの撤去が完了した。(写真・山根一眞)
復旧へ向けての糸魚川市の対応は迅速で大火から3日後、12月25日午後4時には被災区域内の市道のがれきの撤去が完了した。(写真・山根一眞)
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「飛び火」への備えは?

山根:糸魚川大火では木造密集地ゆえに大火になったと言われていますが、多くの地方都市の町並と変わらない印象です。強い南風で火は北上しましたが、海岸がさらに遠かったら被害はもっと大きかったと思います。

山家:かなりの「飛び火」で延焼したようですが、海岸が遠かったら、確かにさらに燃え広がったでしょう。また、もし出火場所が糸魚川駅の南側であっても、「飛び火」はかなり高い駅舎も簡単に越えたはずです。

山根:「飛び火」はなぜそんなに飛ぶ?

山家:林野火災では数キロ飛んだこともありましたよ。強風や火災による強い上昇気流により、燃えた木片などがそれに乗って飛ぶのです。都市部の建物火災でも、風や燃えている面積次第で数百メートルも飛ぶ可能性があります。

広小路通りに面し焼損が著しい建物の内部が道路からもよく見えた。『新潟日報』の新聞販売店だった。(写真・山根一眞)
広小路通りに面し焼損が著しい建物の内部が道路からもよく見えた。『新潟日報』の新聞販売店だった。(写真・山根一眞)
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戦後の大火で1000棟以上が焼損したのは15件。突出して被害が大きかったのが1952年の鳥取大火だ。フェーン現象の強風、その飛び火によって市の大半が焼失。鳥取市にある山根家の菩提寺(天徳寺)も焼失した。
戦後の大火で1000棟以上が焼損したのは15件。突出して被害が大きかったのが1952年の鳥取大火だ。フェーン現象の強風、その飛び火によって市の大半が焼失。鳥取市にある山根家の菩提寺(天徳寺)も焼失した。
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山根:「木造モルタル」では耐火性は不十分ですか?

山家:「飛び火」を一時的には防げても長時間熱が加われればダメです。また、風は強さや向きが変わります。途中で風向きが変われば、横方向にも燃え広がります。過去の大火を徹底して調べ、地形やそれによる風の強さ、吹き方の特徴など地域の気象条件をふまえた上で町の再建をしてほしいですね。

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