(前回から読む)

兵庫県南部地震から22年。
糸魚川大火(糸魚川駅北火災)の現場に立ち見る光景が、22年前の神戸で見た光景と重なった。
神戸、長田区の大火の焼け跡だ。
6000人を超す犠牲者が出た阪神・淡路大震災のあと、当時の知事、貝原俊民さん(1933-2014)は、私に、何度もこう語っていた。
「同じような巨大地震は日本のどこでも起こり得る。全国でシンポジウムを1000回でも続けて、この災害を伝え続けなくては」
そうして開催されたシンポジウムに何度も呼ばれたが、議論の柱のひとつはいつも「地震による巨大火災」だった。消防力はどうあるべきか、ヘリコプターによる消火の法規制は……、などの熱い議論が交わされた。
559人もの方が火災によって亡くなったからだ。
しかし、すでに22年。
「巨大地震=巨大火災」への危機意識は希薄となった感がある、私自身も。
だが、糸魚川大火は、その希薄となっていた記憶を呼び戻した。

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