四川省では信者100人以上逮捕

 たとえば四川省成都の秋雨聖約教会が、ほぼ同じ時期に大弾圧にあっている。この教会はカトリックではなく、カルバン派の牧師、王怡が指導者として知られ、2005年に創立。王怡が妻とともに逮捕されたほか、100人以上の信者らが逮捕、拘束された。事件は国際社会も注目している。この一斉拘束の際、非暴力を掲げる信者たちに警察は武器なども使って威嚇しており、まさに羊の群れに踊り込んだ狼の様相であったと、ラジオ・フリーアジア(RFA)は報じていた。

 45歳の王怡は政権転覆罪で起訴される可能性があり、有罪判決がでれば懲役15年の可能性が指摘されている。だが王怡がこれまで法律家として言論人として宗教家として弱者救済に尽力し、中国社会をより良くしようとしてきたことは周知の事実。当初の活躍は、中国のメディアでも好意的に取り上げられ、2004年には中国で最も影響のある公共知識人の一人として「南方人物週刊」に取り上げられていたほどだ。

 9月には北京の錫安(シオン)教会が取り壊されていた。「民政部に登記のないまま、勝手に社会組織を名乗り活動を展開し、社会組織管理秩序を見出し、社会団体登記管理条例、違法民間組織取締り暫定弁法などの規定に違反」しているという理由だ。この教会は2007年に創立された北京最大の家庭教会で、もともと7つの礼拝堂をもち毎週1500人が礼拝に参加していたという。過去、何度も弾圧を受け、潰されかけそうになりながらも熱心な信者たちに守られてきたが、今年に入ってカルト扱いされ、周辺には顔認証監視カメラが設置され、教会内にも盗聴器が仕掛けられたという。

 また警察側は牧師たちを個別に尋問してスパイがいるなどと吹き込んだり、家族が入院中の牧師に対して協力するならば万元単位の入院費を肩代わりしてやるといった買収をしかけたりしていたらしい。4月以来、9月までに7つの礼拝堂のうち6つが閉鎖においこまれ、9月9日の最後の一つの礼拝堂に警察70人が乗り込み、教会や牧師の個人所有物を押収、強制立ち退きを行った。指導牧師の金明日は「教会に物件を貸していた家主が政府から強い圧力を受けて、契約を中止したいと頼んできたので、我々は閉鎖せざるを得ない。だが新しい場所を借りることはもう不可能だろう」と語っていた。

 このほか、今年2月以降、浙江省や河南省の家庭教会や地下教会の弾圧、閉鎖が続いているという。河南省南陽市で10年の歴史をもつ光彩キリスト教会は9月、警察が突然やってきて教会の十字架を撤去、聖書その他の教会の所有物を押収し、絵画や設備の破壊した。河南は500~600万人のキリスト教徒がおり、光彩教会はその信仰の中心地の一つだった。河南では家庭教会だけでなく、政府公認の三自愛国系の教会ですら十字架撤去を強制されている。

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