ニュアンスが違う米中の公式アナウンス
“中米は世界最大の二つの経済体として、経済貿易交流は十分に密接で、相互に依存している。双方の経済貿易領域には多少の立場の違いが存在することは全く正常なことであり、重要なのは相互に尊重し、平等な相互利益の精神で妥当にコントロールしていくことであり、同時に双方が受け入れ可能な解決方法を探し当てることである。”
両国首脳は中米経済貿易で積極的かつ成果の豊富な討論を行った結果、あらたな追加関税を停止するとともに、両国の経済チームにより緊密に協議を行って、すべての追加関税を取り消す方向でウィンウィンの具体的な協議を達成するように指示することで合意した。
中国側は“中国の新たな改革開放のプロセスをもって、国内市場及び人民の需要に従って市場を開放し、輸入を拡大し、中米経済貿易領域の問題を緩和させるように願っている。双方はお互いの利益とウィンウィンの具体的協議が中国側の米国に対する関連の積極的行動の基礎と前提であるとの合意に至った。双方は共同の努力でもって、双方の経済貿易関係を早急に正常な軌道に戻し、ウィンウィンの協力を実現すべきである”とした。
習近平は台湾問題における中国政府の原則的立場を述べ、米国は政府として一中政策を継続すると述べた。さらに両国元首は朝鮮半島など重大な国際的地域の問題について意見を交換。中国側は米朝首脳の再度の会談を支持し、米朝双方がお互いに合理的関心を顧みながら、半島の完全非核化と平和メカニズムの確立を推進することを望むとした。米国は中国が積極的影響力を発揮していることを称賛し、中国とこの問題についてコミュニケーションと協調を維持したいとした。
新華社もほぼ同じ内容であるので、これが中国の人民に対する公式のアナウンスである。この通りなら、米国は関税を停止し、貿易戦争は休戦、停戦に向かっての話し合いが前向きに進む、という印象である。
だが米国側のアナウンスは、これとかなりニュアンスが違う。ロイター通信によれば、ホワイトハウスが広報し各メディアが報じたのに、中国外交部がアナウンスせず、中国国内の公式メディア(SNSをのぞく)でも報じられていない内容は以下の通りだ。
①中国の抵抗で7月に破談になったクアルコムによるNXP(オランダ)の買収について習近平は承認する態度を示した。
②習近平はすぐさま中国の構造改革についての協議にとりかかることに同意。それには技術移転の強要、知財権保護、非関税障壁、ネット侵入、ハッキングによる情報窃取、サービス業及び農業分野がテーマとして含まれている。
③来年早々に実施する予定だった2000億ドル分の追加関税は90日間猶予を与えるが、米国サイドが指摘した技術移転強要などの問題を解決しなければ10%の関税を25%に引き上げる。
④中国側は米国から農産品、エネルギー資源、工業及びその他の産品を大量購入する。とりわけ農産品の購入は即刻開始する。
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