だがこの中国による植民地化と富の収奪が、ムガベ政権の求心力をますます衰えさせ、またジンバブエ内の反政府活動を活発化させていくことになった。ムガベ政権に対する反発の最大の理由は中国がつくったといっても過言ではない。ジンバブエ内の中国華僑と現地人の対立も激化し、中国としては大っぴらにムガベ支持を表明しにくくなっていた。

 こうした状況の中で、クーデターが起きたのだから、中国の関与が疑われたとしても致し方あるまい。ジンバブエ国軍の装備はほとんど解放軍が提供したものであり、ジンバブエ軍が中国解放軍になんらかの相談をしているかもしれないと考えるのは普通なのだ。

英国の関与は? 一帯一路への影響は?

 私の考えを言えば、ムナンガグワがいったん身を隠していた先が中国でなく南アであるのならば、中国関与の線は薄いのではないか。むしろ英国が積極的に関与してきそうな気がする。

 ただ、ムナンガグワは、中国で軍事訓練を受けたこともある元ジンバブエ解放戦線戦士であり、クロコダイルの異名も持つ冷酷な強権主義という点では、ムガベと同じタイプだ。中国にすれば、ポスト・ムガベ体制としては理想的であり、たとえクーデターに関与していなくても、引き続き、ムガベ政権にしたように、大統領を通じてジンバブエの植民地化を進めていけると思うだろう。

 ただ、ムナンガグワが大統領就任演説で訴えたように、本気でジンバブエの「完全な民主主義」を約束するのだとしたら、これはちょっと中国共産党の思惑から外れてしまう。なぜならジンバブエの大衆は、自国の経済崩壊に乗じて国を乗っ取りかけている中国に対しては極めて強い反感を持っているのだ。こうした反感は顕在化すると、習近平の壮大な大風呂敷・一帯一路構想でも重要な起点であるアフリカへのアプローチにも影響を与えそうだ。

 中国共産党の第19回党大会で、習近平が徹底した共産党独裁を目指していると明らかになった。自分の姿を毛沢東に重ねる絶対的指導者として歩もうとしている次の5年は、国際社会をも巻き込む大きな悲劇をもたらすだろう。党中央の指導(=自分の意見)に抵抗するものは排除し、人民の統制と監視を強化、合弁・民間企業まで従わせ、中国の強国化、強軍化でアジアを支配。日本の安全保障や経済問題は、どんな影響を受けるのか、詳細をレポートする。
徳間書店 2017年11月29日刊