実はムガベと中国共産党の絆はそれなりに深いのだが、習近平個人との相性はあまりよくないといわれている。その理由の一つは、習近平自身が経済の立て直しができないムガベ長期独裁政権を完全に見下しているからだといわれている。「ムガベ長期独裁政権は“アフリカの真珠”と呼ばれたジンバブエを貧民窟に変えた」(華字ネットニュースサイト・アポロニュース)というような、その無能ぶりを嫌悪している、らしい。

「欠席」「拒否」「批判」でメンツ潰す

 さらに、ムガベの厚かましさ、無礼さが習近平の気に入らないようでもある。ムガベ政権は長期にわたって中国から援助を受けてきたが、最近は足りないといっては不満げな顔をすることが多くなった。アポロニュースによると、習近平が2015年9月3日、世界反ファシスト戦争・抗日戦争勝利70周年記念の大閲兵式にムガベを招くも欠席。ムガベは中国共産党の“老朋友”というのが国際社会の認識であったから、習近平は晴れの舞台で、老朋友にメンツを潰された格好だ。しかも同年12月、中国版ノーベル平和賞とでもいうべき“孔子平和賞”をムガベに贈ると言ったら、ムガベは「意味がない」と受け取りを拒否。これも中国のメンツを大いに傷つけたことになる。

 加えて2016年6月、ムガベはとある演説会で、中国が派遣してきている公務員やビジネスパーソンに対して、「稼いだ金を現地から中国に持ち帰っていることがジンバブエドルの深刻なインフレを加速させている」「中国人がジンバブエの女性を虐待している」などと中国批判を行った。ムガベがこうした中国のメンツをあえて潰すような行動をとったのは、習近平政権が満足のいく支援をくれないという不満だけでなく、そろそろ権力移譲計画を立てるようにせっつかれたからだともいわれている。