ジンバブエのクーデターを簡単に説明すると、2018年の大統領選を前に高齢のムガベに健康上の問題が出てきて求心力が落ち始め、与党ナンバー2のムナンガグワとムガベの41歳年下の妻のグレースが後継狙いの派閥争いを昨年夏あたりから拡大し始めたのがきっかけ。ムナンガグワは軍と情報機関の支持がある一方、グレースは党内改革と世代交代を求める若手党員集団ゼネレーション40(G40)の支持がある。

 今年夏、グレースの方からムガベに後継者指名を強く求め、G40が勢いづいた。ムガベは11月、ムナンガグワを副大統領から解任し、グレースを事実上、後継指名した格好となった。

クーデター5日前の訪中

 だが、これに断固反対を唱える国軍司令官チウェンガが11月15日にクーデターを起こしムガベと家族を軟禁。ムナンガグワに大統領を移譲するよう求めた。当初、大統領辞任を拒否していたムガベだが、グレースに権力奪取を許した責任追及を理由に議会が弾劾の手続きに入ると21日、辞表を提出し、亡命先から帰国したムナンガグワが大統領に就任した。

 中国国防部はこのクーデター発生の5日前、チウェンガの訪問を受け、国防部長の常万全が八一大楼で会見している。このとき、チウェンガが中国に政変への理解を求めた、あるいは協力を求めた、というのが主要欧米メディアの憶測である。中国外交部はすでに実施が決められていた純然たる軍事交流、と説明するが、このときすでにクーデターの準備は整っていたとみられるし、中国とムガベの関係の深さを思えば、仁義を通しておく方が安全ではある。

 では、仮にそうだとして、ではなぜ、中国は軍のクーデター計画を黙認したのだろうか。ムガベと中国の絆の深さはそう簡単に切れるものではないだろう。