月面への意欲も強く、嫦娥計画については、来年にはサンプルリターンを目的とした嫦娥5号の打ち上げを予定。その次には、いよいよ宇宙飛行士の月面着陸を予定している。中国は月面と火星の宇宙資源開発については十三次五カ年計画の国土資源技術工作の中に含めており、月面、火星資源開発を国土資源開発の延長と位置付けている。つまり未開拓の地には先に行って旗を立てたものの所有となるという感覚が中国当局にはまだあり、彼らはいずれ、月面や火星の資源を奪い合う国際競争時代が来ると予想している。火星探査機は2020年に打ち上げを予定している。火星探査ローバーのデザインなども公開されている。

1万人強制移住で「天眼」建設も

 ちなみに十三次五カ年の国土資源開発計画では、深海、深地、深空の三方向への進軍を訴えており、宇宙だけでなく、1000メートル以上の海底や、2000メートル地下の資源探査など、地球の深部の人類未踏域にもその開発欲は向いている。中国の拡張意欲は上下左右360度、全方位に向かって展開されている。

 このほか今年8月には量子通信衛星「墨子」号を世界で初めて打ち上げた。ある量子状態の完全な復元は不可能という物理的性質を利用して、解読不可能な暗号通信を可能にするという。これが正常に稼働すれば、中国は米国などとのサイバー戦において、一歩先んじたことになる。英BBCなどの報道によれば、もともとのアイデアはウィーン大学のアントン・ツァイリンガー教授が提唱した理論だが、ツァイリンガーが2001年に欧州宇宙機関に実用計画を提案したが実現には至らなかった。一方、このツァイリンガーの教え子である1970年生まれの潘建偉が、世界の最先端の量子通信研究の成果を祖国に持ち帰り、実用に向けた開発に大きく貢献した。現在は、ツァイリンガー自身も潘建偉の研究に協力しているという。

 また直径500メートルの世界最大の電子望遠鏡「天眼」を、1万人を強制移住させて貴州省の山村に建設したことも瞠目に値する。100億光年以上向こうの目標を観測でき、宇宙の起源や地球外文明史探査が目的というとロマンチックだが、一部では軍事利用や軍事技術の開発が真の目的だとも言われている。電子望遠鏡の開発によって、軍事スパイ衛星やミサイル予警衛星の動向、観測技術やステルス機の捕捉技術が蓄積されるとか。

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