習近平自ら臨んだ開会式

 10月23日、習近平自らが開通式に臨んだ。それほど、習近平はこの大橋の開通を重視していた。話が少しずれるが、このときの習近平の南方視察は、鄧小平の南巡講話を上書きするためのものだとささやかれ、この開通式で改革開放40年目にちなんだ重要講話でも発表されるのかと世界が注目していた。だが、蓋をあけてみると重要講話は出なかった。鄧小平路線を逆走中といわれる習近平路線に、党内で抵抗感が強いことや、折しもマカオ中聯弁公室主任・鄭暁松の謎多き突然の自殺が直前に起きたことなどが、習近平の口をつぐませたのではないか、こうした党内の軋轢がいまだ秋の中央委員会総会が開かれていない原因ではないか、と噂された。

10月23日の開会式には習近平も出席した

 さて、空港から出ている港珠澳大橋乗り合いタクシー(200元)に乗って私もこの大橋を通過していた。開通3日後であったので、さぞ“おのぼりさん”で混んでいるだろうと思いきや、ガラガラだ。およそ45分ですんなりマカオと珠海の両方につながる人工島の通関センターに到着。通関センターもほとんど人気がなく、出会うのは公安部幹部の視察ツアーぐらいだった。通関センターでは香港、マカオ、珠海の「一地三検」式の出入境手続きが行われており、香港からマカオにいくのも、珠海にいくのも、珠海から香港やマカオにいくのも同センター内で手続きができる。

 それぞれに非常にスピーディで、その移動時間の短縮と利便性に香港、マカオ、広東省の一体化は否が応でも実感させられた。この大橋工事が投資規模や環境的人的犠牲の大きさに見合うような通行量や経済効果があるかというと、とてもそうは思えないし、耐用年数120年と喧伝されていながら、じつは「おから工事(手抜き工事)」であるといった噂もあって、その安全性にも懸念は残るのだが、一国二制度三地の概念を一本の橋によって超えてみせよう、という象徴的な効果、政治的意義は大きいかもしれない。