さらに言えば、この高速鉄道は衛星写真地図でみると、そのまま解放軍香港駐留軍基地近くにまで延びている。この高速鉄道が軍事戦略上の意図をもって建設されていることの証左だと、この高速鉄道計画に反対してきた香港の若者たちは主張する。実際、中国の高速鉄道が“快速運兵”を目的とした軍事インフラ建設の一環であることは周知の事実。解放軍報でも「高速鉄道戦術訓練」についてそれなりに詳細に報じられている。

 中国の高速鉄道は現在すでに2万5000キロ、近い将来3万キロに延びるが、北京―上海路線以外はほぼ赤字路線。それでも高速鉄道インフラ建設を推進し続けるのは軍事利用目的だからだ。この北京から続く広州―深圳―香港路線の開通式のときは解放軍香港駐留部隊司令・譚本宏も列席していた。抗議者が解放軍服コスプレをしているのも、この高鉄路線開通の目的が香港に対する軍事介入を想定したものだと受け止めているからだ。

 もう一つの香港・中国一体化の象徴である港珠澳大橋も実際に通ってみた。総工費200億ドル、全長55キロ、世界一長い海上大橋は、三つの人工島築造と世界一長くて深いところに埋設された6・7キロに及ぶ海底トンネル工事を含めて計画から14年をかけた中国の大国家プロジェクトだ。重さ8万トンの180メートルのパイプを海底40メートルに埋設する技術や、巨大口径パイプを差し込んで100日余りで人工島を建設する築島技術は、もともと南シナ海に人工島や海底トンネルを建設するために研究されていた国産技術だという説もある。

香港・中国一体化の象徴である港珠澳大橋

 2017年3月までの7年におよぶ工事期間に死者10人以上、600人以上の負傷者を出した難工事でも知られ、香港人たちからは血涙大橋などという不吉なあだ名もつけられている。また国家一級保護動物の中華白海豚(シナウスイロイルカ)がこの工事により三分の一ほどに激減したと愛護家たちは主張している。ちなみに人民日報などは、工事によって死んだ中華白海豚はゼロだと報道しているが、一部香港メディアは2016年1月から9月までの間に、少なくとも6頭の中華白海豚が工事船のプロペラに巻き込まれるなどの事故で死亡していると報じている。