会談における両首脳の発言

 一方、日本が中国に手を差し伸べる、という珍しく日本が優位に立ったように見える外交であった。今回の日中首脳会談で謳われた日中新三原則「競争から協調へ」「パートナーとなって、脅威にならない」「自由で公正な貿易体制を発展させていく」は安倍から提示されて、習近平が承諾するという形になった。習近平主催の晩さん会で安倍は丁寧にもてなされ、米中関係について不安そうな表情を見せる習近平に、安倍が「トランプ大統領はあなたのことを信頼している」と慰める場面まであった。

 では、今回の日中首脳会談では日中どちらがより多くのものを得たのだろう。外交に勝ち負けをつけるのも変かもしれないが、勝者とよべるのは日中どちらなのだろうか。

 新華社によれば、会談における習近平の発言はこんな感じだ。

 「……今年は中日平和友好条約締結40周年だ。1978年、両国の先輩指導者たちは平和友好条約を結び、法律形式をもって両国の長期的和平友好の大方針を確定した。双方がこれに協力して互いの利益を発展させるために、共同発展および歴史、台湾などの敏感問題の妥協をはかり、堅実に従い保障する。双方の共同の努力のもと、中日関係は目下、正常な軌道を回復し、再び積極的な情勢となっている。これは双方にとって得難いものである。双方とも四つの政治文書が確立した原則に従い、平和と友好の大方針を堅持し、互恵互利の協力の深化を持続し、中日が回復した正常軌道の基礎の上で新たな発展を推進していくであろう」

 「新情勢のもと、中日両国はお互いの依存を日増しに深め、多面的により広範な共同利益および共同の関心において、より深い戦略的コミュニケーションと多層的な次元で、多くのチャンネルによる対話メカニズムを通じて、相手の戦略的意図を正確に把握し“相互に協力パートナー”であること、“お互いを脅威としない”とする政治的共通認識を切実に徹底して実践し、ポジティブな相互作用を強化し政治的相互信頼を増進させよう。さらにハイレベルの実務的協力を展開し、十分な協力の潜在力を開放しよう。中国の改革はたゆまず深化しており、開放の大門はますます大きく開かれている。これは、中国同胞および日本を含む世界各国が協力を展開するために、より多くのチャンスを提供するであろう。ともに“一帯一路”を打ち建て、中日の相互利益協力のために新たなプラットフォームとテストケースを提供しよう。

 中国としては日本が新時代の中国発展プロセスにさらに積極的に参与し、両国のさらなるハイレベルなウィンウィン関係を実現することを歓迎する。さらに広範な人文交流を展開し、相互理解を増進し、両国の各階層、特に若者世代の活発な中日友好事業への参加を応援しよう。さらに積極的な相互安全のための行動を展開し、建設的な相互安全関係を構築し、ともに平和発展の道を行き、地域の平和安定を維持しよう。さらに国際協力を緊密にし、共同利益を開拓し、地域経済の一体化を推進し、ともにグローバル的な挑戦に応対し、多極主義を守り、自由貿易を堅持し、世界経済の建設開放を推進しよう……」

 新華社によれば、これに対し安倍晋三の発言は以下の通り。

 「中日平和友好条約締結40周年のこの重要な時期に正式に訪中できたことを非常にうれしく思う。この訪問を通じて、双方が競争から協調に変わった日中関係新時代を始めていきたい。日中はお互い隣国であり、お互いの利益協力、お互いが脅威にならない精神に照らして、両国の四つの政治文書を根拠に両国関係を推進していく共通認識を確認し、同時に国際社会及び地域の平和のために自由貿易を擁護していくために貢献していくべきだ。

 これは国際社会とこの地域の国家の普遍的期待である。日本は中国がさらに一歩対外開放を拡大することを歓迎、支持し、継続して積極的に中国発展のプロセスに参与していきたい。日本は中国側と道を同じにし、ハイレベルおよび各レベルでの交流を密接にし、両国の友好的な民意を基礎に双方の意見対立をうまくコントロールし、日中の戦略的互恵関係の深化発展を推進し、地域の安定と繁栄に力をあわせていきたい。“一帯一路”はポテンシャルのある構想であり、日本側は中国側と、第三市場の共同開拓を含めて広範な領域で協力を強化していきたい」