ただ、はっきりと中国のこのプランを警戒している国がある。ロシアである。

半島の核管理、プーチンより日本が

 プーチンは今や中国以上の金正恩の擁護者の立場にあり、石油禁輸を含む制裁のエスカレートに反対し続けている。「北朝鮮は草を食んでも、核ミサイル実験を継続するだろう」と言い、制裁ではなく米朝の直接対話を模索すべきだという立場で、対欧州外交などを展開中だ。ちなみに、トランプ政権の中でも親ロシアとみられるティラーソンも北朝鮮との直接対話派だ。

 プーチンは六カ国協議が始まる以前の2001年の段階で、金正日に核兵器と“簡単なミサイルシステム”保有の事実を打ち明けられていたことを公表しており、おそらくはミサイル開発にも力を貸していたと思われている。北朝鮮の核問題は、ロシアにとっては北朝鮮利権に食い込む格好のチャンスとしてとらえていた向きがある。

 そう考えると、中国のポスト金正恩政権のこのプランには、ロシアが思いっきり抵抗するだろう。そうなったとき、どういった妥協案がでてくるだろうか。たとえば、核兵器管理については中ロによる共同管理、などだろうか。

 ところで、このプランで、おそらく一番不利益を被るのは日本である。半島に中国主導で反日的統一国家ができ、米軍のアジアにおけるプレゼンスは縮小され、日米安保に頼り切ってきた日本としては不安でしかない。しかも、半島の国の核兵器を管理しているのは、毛沢東路線回帰に走る習近平政権の可能性が高い。

 となると、日本は日本に不利益にならないような独自プランをきちんと練って米ロを説得できるくらいの準備は必要だろう。個人的には、非核国の日本が、半島の核を管理するのに最適な国だと思うのだが、どうだろう。

 世界は何が起こるかわからない不透明時代に突入したのだから、過去にありえないと思われたことにも対応できる国にならなければならない。中国の党大会とほぼ同じ時機に行われる日本の総選挙は、そういう国にするための選挙だ。心して候補者を吟味しよう。

 トランプと習近平のしくじり合戦が始まり世界は大混乱へ…。秋に党大会を控えた中国が国内外に対してどう動くか。なぜ中国人はトランプを応援していたのか。軍制改革の背景とその結果は? 北朝鮮の暴発と米中の対立、東南アジアへの進出の可能性など、様々な懸念材料が散らばっている、かの国を徹底分析する。
ビジネス社 2017年6月9日刊