新京報は修理に当たった専門家も取材している。その言い分をまとめると、国家文物局、遼寧省文物局、地元県文物局及び文化財修復施工業者四社の関係者による調査チームが現地調査に当たり修繕・修復方法を検討。すでに破損が激しく青磚や石材もなくなっていたので、原貌回復が不要と言う意味ではなく、最小の関与で現状保存する応急処置として、砕けていた磚などを集めて白灰土で固める修復案をとった。

 新しい石はまったく使っていない、という。一番上の部分を保護するため厚さ平均12センチの白灰土3、コンクリート7の割合で作った保護層をかぶせたのでのっぺりした舗装路のような外観になった、と説明している。だが、風の強い稜線で、白灰土は3~5年の時間が経てば風化し、下の長城の砕けた磚は露出し、もともとの風景に近いようになるという。爪くらいの薄さ、と指摘されたのは、すでに保護層が風化したところだろうか。

注目と非難が高まり、反論も必死

 遼寧省文物局長の丁輝は「修繕保護しなければ、大雨などが降れば、危険なだけでなく、かろうじて残った城壁も消失してまう。…破損部分に一層の保護層をかぶせる修繕方法を採択した。修繕部分全長8キロのうち、一部は修復し、一部は固定し、一部は保護した。…全部コンクリで平らに塗り固めたわけではない」と弁明している。

 修繕方法は、国家文物局が2014年に批准し、(外観を元通りにする)修復は不可能で、ただ保護修繕しかできないと、専門家も判断した。「確かに見た目は悪くなったが、これが専門家たちが決めた唯一のやり方だ」と丁輝はその合法合理性を主張した。これだけ世間で批判の声が高まれば、下手をすれば当局関係者の処分もありうるので、彼らの反論も必死だ。

 だが中国の著名な長城研究家であり、中国長城学会副会長の董耀会の見方は厳しい。長城修復の問題点をやはり新京報など中国メディア上で訴えていた。

 「このような粗暴な長城修復は、長城の文化と歴史を傷つけることになる。人民と文化遺産の対話の断絶させる荒唐無稽な行為だ」「長城修繕は合理合法的で手続き上は問題ないということだが、結果的に文化財の風貌を破壊する原因になっている。目下全国の長城修繕の在り方に統一した方法はなく、その基準も操作可能だ」

 つまり地方によって長城の修復のレベルというのは相当差があり、統一した修復基準や、施工、管理などの原則も決まっていないことが、そもそもの問題だという。

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