共青団とは、本来、党中央ハイレベルの主要職を担えるだけのエリートを育成するための人材養成機関としてつくられた。血統や家柄に関係なく、高い学歴さえあれば、経験を優先的に積ませてもらえ、党中央最高指導部にも上り詰めることもできる。茶葉売りの息子の胡錦涛も、うだつの上がらない地方下級役人の息子の李克強も、貧困農村に育ち履く靴もなかった胡春華も、そうしてのし上がってきた。共青団というシステムがあったからこそ、太子党・紅二代のサラブレッドである習近平と肩を並べて仕事をすることができたわけである。だが、習近平はそうした、広く共産党に優秀な人材を供給するシステムを壊そうとしている。

真の破壊者は?

 習近平の建前は、共青団はすでにエリート化し貴族化してしまったから、そんな形骸エリートではなく、もっとたたき上げの人材を登用するのだ、ということらしい。だが、それはあくまで建前だ。むしろ、毛沢東がその強いコンプレックスと自分の政敵予備軍を潰すために、徹底的に知識層を弾圧し、知識青年を農村に下放させ、大学入試をやめさせた文革に近いものを感じるのは私だけではないだろう。毛沢東が知識層を恐れ嫌ったように、習近平も知識層を恐れ嫌っているのだと思う。それが、人権弁護士迫害や共青団潰しに表れている。だが、文革時代の知識層弾圧がその後、どれほどの中国の知的停滞を招いたかを考えれば、エリート養成機関共青団弾圧が党の知的衰退を招くのは必至ではないだろうか。

 ならば、習近平は中国の強国化をめざしているようでいて、真の意味での共産党体制の破壊者となる可能性もあるのではないか、と興味深い。

 トランプと習近平のしくじり合戦が始まり世界は大混乱へ…。秋に党大会を控えた中国が国内外に対してどう動くか。なぜ中国人はトランプを応援していたのか。軍制改革の背景とその結果は? 北朝鮮の暴発と米中の対立、東南アジアへの進出の可能性など、様々な懸念材料が散らばっている、かの国を徹底分析する。
ビジネス社 2017年6月9日刊