ツイッター上にはもともと、中国当局サイドの五毛(雇われオンラインコメンテーター)が大勢いる。また、海外の中国人留学生らの中には、海外に出たことにより、愛国心が強まり、習近平が目指す偉大で強大な祖国を素直に誇りに思い、外国からの中国批判に対して躍起になって反論する「小粉紅」と呼ばれるネットユーザーがいる。彼らはネット紅衛兵という名で呼ばれることもある通り、中国に批判的なコメントをすると、集団で執拗に絡んで、炎上させることもある。

 アカウントの中の人は、そうした五毛や小粉紅だろうか。いや彼らは、比較的忠実な習近平支持者だ。だが、このアカウントは、中国共産党を礼賛しているようにみえて、巧妙に習近平政権の問題点や矛盾をあぶりだすような、発信をおこなっているようでもある。とすると、アンチ習近平派、本物の共青団派による場外権力暗闘ではないか。グレートファイヤーウォールの外から習近平政権を攻撃しているのではないか、あるいは共青団に濡れ衣を着せて、党内の立場を悪くさせようとしているのか、とも思えてくるのだ。

習近平のエリート潰し激化の中…

 そのように思えるのは、アカウントが登場したタイミングもある。

 党大会まで一か月前後のタイミングで、習近平の共青団に対する攻撃がますますあからさまになってきたのだ。まず9月6日に発表された党大会参加の党代表名簿から共青団第一書記の秦宜智が落選したことは、習近平が仕掛けた共青団への権力闘争の一つの結果だといわれている。

 秦宜智は9月19日に、国家質量監督検査検疫総局副局長に任命され、共青団第一書記の任を解かれた。これは事実上の更迭だ。共青団第一書記は本来ならば、地方行政トップの経験を積み、胡錦涛や李克強や胡春華のように、党中央政治局入りし、指導者候補となるほどのエリートコースだった。そうならなかったのは習近平が、共青団そのものの権威をおとしめようとしているからだ。

 9月10日に出版された「習近平の青少年と共青団の工作についての論述集」では、習近平の共青団に対する不満、批判がこれでもかと盛り込まれている。

 この論述集は習近平政権5年間の共青団に関する講演、発言などをまとめたもので、一部は初めて公にされた内容も含まれる。この中で習近平は共青団のことを、「形骸化している」「スローガンを無駄に叫ぶだけ」などと批判している。2015年7月に共産党史上初めて、党中央が共青団や婦女連合会、紅十字会(赤十字)などの各共産党機関を招集して開催された「党の軍団国策会議」上で、習近平が共青団を「いかなる機能も発揮できない四肢マヒ状態」などと激しい文言で非難していることもこの論述集で明らかにされた。また習近平は一部共青団幹部に対しても、「科学についても話ができない、文芸についても話ができない、仕事についてもダメ、生活も正しくない、官僚的な発言を繰り返すだけだ」などと批判している。

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