紅二代・太子党は、習近平がのぞむ独裁の野望を阻めるだけの政治実力、影響力をもっている。それを恐れた。だから軍という、兵力を動かせる部分から紅二代・太子党の排除を開始したのではないだろうか。

軍権掌握か、フルシチョフの轍か

 実は房峰輝失脚の背景にも、きな臭い噂がある。今年6月中旬から2か月余り、中印国境で両軍がにらみ合って一側触発にまで高まった中印国境危機において中印両軍が「撤退協定」を結ぼうとしたとき房峰輝が反対した、という噂であり、それが原因で失脚させられたという話である。

 裏の取りようもない話なのだが、もしも、この噂に多少の真実が含まれているとしたら、房輝峰が中印紛争再発の危機を党大会前にあえて招き、習近平政権の安定を崩そうとした、という可能性があるわけだ。確かに9月3日にBRICS首脳会議が予想されているのに、中印国境が緊張してインド首相が会議を欠席するような事態になれば、習近平のメンツは丸つぶれだ。軍人は、たとえ習近平に真向から刃向かわなくとも、こんな風に習近平政権の安定を揺るがすことはできる。

 強軍化路線を進めている習近平にとって、軍のコントロールを失うことは、失脚の直接的な原因となる。フルシチョフも軍制改革によって軍権の掌握と強軍化を目指したはずが、逆に軍のコントロールを失い軍事的メンツを失って失脚に至った。

 この軍・武装警察選出の党代表名簿から、習近平が今の段階では軍権掌握に自信をもっておらず、強い恐れを感じていることが、読み取れないだろうか。

 トランプと習近平のしくじり合戦が始まり世界は大混乱へ…。秋に党大会を控えた中国が国内外に対してどう動くか。なぜ中国人はトランプを応援していたのか。軍制改革の背景とその結果は? 北朝鮮の暴発と米中の対立、東南アジアへの進出の可能性など、様々な懸念材料が散らばっている、かの国を徹底分析する。
ビジネス社 2017年6月9日刊

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