実際のところ、アフリカにおける中国の影響力は圧倒的である。アフリカ諸国も、当然、中国、日本の双方を競わせて金をひっぱってきたい思惑があろう。中国には中国にとって聞こえの良いことを言い、日本には日本の喜びそうなことを言う。日本ケニアの共同声明をケニア側が否定していることは、確かに日本にとって外交メンツを失わせたことになるので、この件については日本の外務省もきちんとプロセスを説明する責任がある。

 ただ、中国がかくも、余裕のない様子で、敏感に日本の対アフリカ外交に対して反感を持ち、警戒感を示しているのは、やはり何かあると考えるのが普通である。実は中国の対アフリカ戦略が、思い描いていたほどの効果を上げなくなってきたことへの焦りがあると思われている。

難しさ5点、中国の焦り

 8月下旬に出された中国社会科学院の西アジア・アフリカ研究所の「アフリカ発展報告書2015-2016」では、中国がアフリカのパートナーであり続けることの難しさをかなり具体的に指摘している。

 ①局部戦争、テロの脅威、政権更迭リスク、行政効率の低下、法律環境が人の意のままにならず、為替管理リスクも大きく、租税レベルが高くていい加減、マンパワーコストも必ずしも低くない。

 ②中国企業側に投資対象国への理解が欠如し、現地企業との間に悪性競争や現地の法律を無視した状況が起きる。

 ③アフリカ経済にネガティブな影響を与える。商品の価格下落、アフリカ基礎インフラ建設の遅れ、アフリカ国家市場の需要下落などが、我が国のエネルギー、基礎インフラ建設、製造企業のアフリカにおける発展に不利益をもたらしている。

 ④西側国家企業との競争が激化し、製造の障害となっている。エネルギー鉱物資源開発の領域において中国企業の権益取得を阻止しようと動いていることが一つ。また「中国脅威論」や「新植民地主義」といった批判でもって、中国企業の発展にネガティブな影響を与えている。

 ⑤中国アフリカ経済貿易協力において困難が存在する。アフリカ国家政府の政策支持が不足していること、基礎インフラ建設投資の割り当てが不十分なこと、企業への融資メカニズム、プラットフォームが欠乏していること。この結果、企業開発区の発展速度や企業の投資意欲にマイナス影響を与えている。