ちなみに今ゴシップメディアに飛び交っている次期指導部リストには、政治局常務委員席が7人から5人に減らされ、王岐山、李克強とも引退するという説から、王岐山が政治局常務委員会に残留し、全人代常務委員長のポストにつきながら首相の李克強を補佐するという説、7人中、習近平、李克強、陳敏爾、胡春華、汪洋、栗戦書を含めた6人までの内定が固まっており、最後の一席を王岐山、韓正、趙楽際が争っている、という説などがある。

 いずれにしろ、王岐山の進退が今、山場に入っていることは間違いない。しかも、王岐山が引退すれば、王岐山失脚につながる可能性が全くないとは言えないかもしれない。以前、このコラムでも紹介した闇の政商・郭文貴は、今なお王岐山の腐敗ネタを次から次へとインターネットメディアを通じて拡散中だ。特に海南航空集団(海航、HNA)の株主に王岐山の甥がいて王岐山ファミリーに巨額の富を移転し、王岐山自身が海航からプライベートジェットはじめ多額の賄賂を受け取っているという疑惑は、新華社が完全否定しているにもかかわらずまだくすぶっており、それに加えて王岐山の私生児が海航の大株主だ、という新しいネタも飛び出している。王岐山自身はノーコメントだが、郭文貴の言い分を積極的に流す米国に拠点を置く華字メディア・明鏡ニュースに対して、郭文貴自身のスキャンダルやうさんくささを報道して、その影響力を打ち消そうとしている親王岐山メディアの財新が、代理闘争を請け負っている。

米メディアが「海航の謎暴き」に本腰

 ここで、気になるのは米国の動きだ。最近の3年間だけでも450億ドルを海外資産購入に投じた海航に関しては所有権や株主構成、債務水準や資金調達ルートに対する疑惑を米大手メディアが盛んに報じるようになってきた。

 8月25日付けニューヨーク・タイムズ(NYT)は、海航集団とパシフィックアメリカンコーポレーション(ボーイングなどにも航空機部品などを提供するサプライヤー企業、PAC在ニューヨーク)の謎めいた関係について、新たな証拠を入手したと報じている。海航は中国最大級の非上場コングロマリットの一つで海外資産の積極買収で知られ、現在、ドイツ銀行の最大株主でもある。その在米本部が置かれているPACとの親密な関係については、いろいろと謎が多かった。海航側は、もともと別の独立した会社で、海航集団参加の海南航空に必要なエンジン部品などを購入するなどの取り引き関係しかなく、PACの株などももっていないとしていた。だがNYTが入手した資料によれば、PACの経営者は海航のCEO陳峰の実の息子と弟であり、香港とケイマン諸島のオフショア企業を通じて、海航とPCAのオーナーシップ関係を隠蔽していたという。これは中国の証券法に違反している可能性がある、という。