予備選は512人の中央委員および中央委員候補、各省自治区直轄市書記らが合格、不合格の票を入れる。最多合格508票をとったのは習近平、次に王滬寧が504票、王岐山が501票。500票以上をとったのは35人中3人だけだったという。9割以上の合格票獲得者は李克強、丁薛祥、房峰輝、許其亮、趙楽際、栗戦書、楊晶らだ。

栗戦書は習近平の側近と評されるが…

 この結果をみると、習近平は別として、王岐山の高得票が印象的で、普通に考えれば王岐山は政治局常務委員に留任することになるだろう。政治局委員が現行の25人のままだすると、習近平派とアンチ習近平派の勢力図は拮抗しているといえそうだ。ただし、派閥としての団結度、信頼関係の深さに関していえば、習近平派閥はかなり早急に養成されたメンバーが多く、またイエスマンが多いという印象がある。

 たとえば、栗戦書は習近平の半径5メートル以内に寄り添う側近と評されているが、習近平とのしっかりした信頼関係が構築されているかというと、疑問視する人は結構いる。

 栗戦書は河北省党委員会秘書長時代に当時の河北省書記であった程維高に苛め抜かれ、あわや潰されそうになったことがあり、このとき、助け舟を出したのが当時、陝西省書記であった李建国だった。李建国が栗戦書の遭遇している不条理な状況を中央に説明し、陝西省常務委員会秘書長に引き抜かなければ、今の栗戦書はいなかったことになる。団派の李建国は2015~16年、習近平によって失脚させられそうになるのだが、このとき習近平に逆らって李建国の失脚を防いだのは栗戦書であり、これが栗戦書が義理人情に厚い人間という評価の一つの根拠になっている。ただし、習近平の性格からすれば、一度自分に盾突いたことのある部下に対して深い信頼関係を維持できるかはあやしい、というわけだ。

 とすると、政治局常務委員会メンバー、つまり最高指導部の顔ぶれを予想するに、習近平が全面的に信頼できるメンバーはいないかもしれない。政治局委員を最低1期務めた人間が政治局常務委員に昇格するという前例を考えれば、習近平、李克強、王岐山、汪洋、胡春華、李源潮、栗戦書、趙楽際、韓正あたりに絞られる。予備選における王滬寧の得票数を考えると彼がトップ7入りする可能性もあるが、王滬寧は地方政府における行政経験がなく、行政経験なしに政治局常務委員会入りする前例はなかった。王滬寧を一度、地方に出すという話は指導部でしばしば話題に出ているそうだが、本人が生粋の学者肌で、地方の実務で苦労することを望んでいないという噂もある。