続いて、長生生物の製造する三種混合ワクチン(ジフテリア、百日せき、破傷風)に基準に満たないものが昨年製造されていたが、それはすでに山東省疾病予防コントロールセンターに販売されていたことが、発覚した。山東省サイドがこの問題ワクチンの所在を調べたところ購入した25万2600本のうち、24万7359本は既に使用され、破損などで廃棄されたものなどをのぞいて、実際に接種を受けた子供は21万5184人。今のところ、健康被害の報告はない、という。吉林省は昨年11月のうちにこの事実を突き止めており、長生生物の問題ワクチン在庫分(山東省に売らなかった分の186本)を没収し、長生生物に対して罰金300万元の支払いを命じていたが、これは公表されていなかった。

子を持つ親たちが怒りの行動に

 具体的な被害者が出ていないながら、中国ワクチン市場の25%を占める中国を代表する大手製薬企業における問題ワクチン製造事件は、まさしく中国社会がパニックになるには十分だ。子をもつ親たちは、自分の子供が接種したワクチンの製造元を一斉に問い合わせたり、その不安や怒りをSNSなどにぶつけるなどの行動にでた。

 これに対し、中国共産党宣伝が傘下メディアに、偽ワクチンに関する情報の拡散を封鎖するように関連部署に通達した、という。具体的には独立調査報道の禁止、またネット情報を基にした報道の禁止などだ。だが、当局のこうした対応が漏れ伝わると、さらに庶民の中国当局への不信感が増幅している。

 中国の育児経験者による組織「口袋育児(ポケット育児)」のオフィシャルアカウントは、山東省の問題ワクチンについて注意喚起の文書を発表したが、まもなくインターネット管理当局から削除要請を受けて削除された。口袋育児は「我々は科学的育児、専門性、厳粛性を一貫して保持しており、努力を積み重ねて信用とブランドを確立してきました。故に(削除は)、我々の文章に問題があったのではなく、関連部署が言わせなかった、ということです」と微妙な声明を発表している。

 ボイスオブアメリカによると、「長生生物の狂犬病ワクチン製造記録の偽造事件は、どのように偽造が行われたかが依然中国の国家機密であり、一般庶民が知りえないことなのだ。メディアには独立調査報道を許さず、いかなる公民団体や専門家組織による調査も許さない」「中国中央政府と山東省当局は過去9カ月の間、山東省の公民および全国の公民に、長生生物のワクチンが基準に満たないことを隠蔽してきた。中国の公式ネットメディア澎湃新聞(7月22日)は、山東省食品薬品管理監督当局の匿名責任者が2017年にすでに問題ワクチンの存在を認識し、一部回収を始めていたことを認めていたことを報じていた」といった批判の声が上がっているという。

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