中国の王毅外相はこの判決に対して次のように言い放った。

 「この判決は受け入れられないし認めない。最初から終わりまで法律の衣をきた茶番であり、明らかに政治的背景と瑕疵がある。海洋法公約と国際法治を公然と破壊するものであり、この本質は徹底的に暴露されるべきである。…

 フィリピン前政権は一部外国勢力に操られて当事者の同意を経ずに、双方の二国間協議による解決の機会を放棄した。その目的は、中国フィリピン間の争議の妥当な解決などではなく、中国の領土主権と海洋権益の侵害であり、南シナ海の平和と安定の破壊である。…

 すでに多くの国際社会の知識層、法律界の人たちはこの判決に懸念と疑いを表明している。約60か国が中国の立場や主張を支持している。これら正義の声に国際社会は耳を傾けるべきだ。…

 中国の南シナ海における領土主権と海洋権益は堅実な歴史と法律を根拠としており、仲裁裁判所の判決の影響は受けない。…

 いかなる勢力がいかなる方式で中国の領土主権と海洋権益を否定しようともそれは徒労に終わるだろう。…

 中国は引き続き話し合いで争議を解決し、地域の平和と安定を維持するつもりである。国際秩序の建設者であり平和の庇護者として、中国は国際法にもとづき、当事者同士の話し合いで問題を平和的に解決する。また各国の航行・飛行の自由も法に基づいて維持する。

 仲裁案の悪意ある扇動によって政治を操ることは、南シナ海問題をさらに緊張と対立の危険領域に巻き込むことになるだろう。これは地域の平和安定維持に完全に不利であり、中国フィリピン両国、地域国家と国際社会全体の共同利益に合致しない。この茶番はもう終わった。正しい道に戻るときだ」

中国こそ国際秩序の建設者

 最近、ヒステリー気味の王毅にしてみれば、比較的抑えた言葉遣いだが、この談話ににじむのは、中国こそ国際秩序の建設者である、という主張であり、今回の判決は一部外国勢力(具体的には日米)の陰謀であり、国際社会の総意ではないという立場である。確かに国の数からいえば、仲裁案が出た直後に支持を表明しているのは日米など43か国、不支持、二国間の協議で解決すべし、という意見の表明はロシア、パキスタンなど58か国。ちなみに韓国は立場を表明していない。

 太平島を島ではなく岩礁だと一蹴された台湾も、判決不支持の声明を出しているが、これは台湾にしてみれば、中国台湾当局と不本意な名で呼ばれたうえ公聴会にも呼ばれておらず、とばっちりを食ったとしか言えない。それでも、台湾は二国間協議ではなく多国間協議、国際社会での話し合いで解決をと呼びかけている。