そして魔の木曜日事件だ。22日午前中だけで、万達集団の債券が投げ売り状態になり、2%超えの下落。深圳市場の映画関連最大手上場企業である万達電影院線は9・9%の下げ止まりとなった。この日蒸発した、王健林の資産は40億元という。

「ネットの噂」を引き金に

 なぜ万達の債券投げ売りが起こったのかというと、インターネット上で、中国建設銀行など万達の主要取引銀行に対して、当局から保有する債券をすべて売却するよう通達があったという、情報が流れたからだ。万達サイドは、すぐに「銀行側に問い合わせたが、そういう通達は出ていない」として、ネット情報がデマであると火消しにまわったが、多くの人々が、王健林の失脚が近いのではないか、という予感を持った。

 万達集団がハリウッド進出を目指して、無謀ともいえるような米映画関連企業の買収を行い、銀行に多額の借入金があり、財務状況が悪化していることはかねてから欧米のコンサル企業からも指摘されていた。また、米国のエンタメ業界に入れ込む姿勢は、一つ間違うと、中国独自のソフトパワー政策を掲げる習近平の不興を買う可能性もありそうだ。王健林は軍人出身であり、その父親も長征参加の革命世代。習近平ファミリーにも株を融通していたことは知られており、王健林の積極的なハリウッド買収や海外スポーツ関連の投資、買収なども習近平の意向に沿っているとも思われていた(関連記事「中国はハリウッドを乗っ取るのか」)。

 だが元大連駐在記者で薄熙来失脚の内幕を暴いたことでも知られる亡命ジャーナリストの姜維平はラジオ・フリー・アジア(RFA)サイトに「王健林はひょっとして終わりか?」というコラムを寄せていて、彼が薄熙来や最近失脚した福建省の不動産王・黄如論らとも関わりが深いことを考え合わせ、失脚の確立がかなり高いのではないかとの予測を語る。

 復星国際株は22日午後、8.5%という創業以来最大の暴落を経験。やはりネットの噂が引き金だった。今のところ、暴落した株価は回復したが、一時は2015年6月から始まったあの株災の再来か、と市場関係者は震え上がったことだろう。

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