中国としては、ロシアが中国海軍と同時期に接続海域に入ったことに大きな意味を見出している。つまり、南シナ海と合わせて、東シナ海問題にロシアを引き込めれば中国にとって有利だということだ。

 尖閣は日本の実効支配下にあり、日米安保の枠組み内にあるので、中国の実行支配下にある南シナ海の島嶼問題よりもある意味攻略しにくい。そこに米国と対立するロシアを引き込めればこれは中国に利する。万が一、日本とロシアの関係がこじれれば、中国にとっては願ってもないことだ。ロシア軍艦が南シナ海での国際テロ軍事演習にこの海域を通ることは、かねてからわかっていたのだから、中国がタイミングを合わせて尖閣諸島接続水域に軍艦を出すくらいのことは十分考えられる。

習近平はプーチンLOVE

 ロシアは本当のところどう考えているのだろうか。

 ロシアの本音を探る手段は今の私にはない。ただ、プーチンは稀に見る外交巧者である。年内の日本訪問の条件の駆け引きを見据えながら、6月の訪中の内容を詰めているところであろう。ロシアと中国が真の蜜月だとは思わないのだが、習近平のプーチンLOVEはかなり本気だ。

 ウクライナ危機にしてもシリア撤退の奇策にしても、習近平政権が「外交はかくありたい」とほれぼれするようなことをプーチンはやってのける。そういった中国側の気分を見越して、ロシアは4月のモスクワでの中ロ外相会談で、南シナ海問題を当事国間の直接の話し合いでの解決を求める中国側の立場を支持している。

 ロシアはベトナム・カムラン湾を軍事利用しつつASEANにおける武器輸出拡大を図っているところで、南シナ海には巨大な利権をもつ。米国の対ベトナム武器禁輸解除は、中国以上に苦々しく思っているはずだ。中国が米国の対ベトナム武器禁輸解除に対して、あまり怒った風でなかったのは、南シナ海問題にロシアを引き込み、米国と対立させる好機とみた、ということも考えられる。