指導思想と社会の整合性が問われる

 「イデオロギーに関していえば、十九大で、指導思想およびイデオロギーと中国社会の整合性が問われることになる。中国共産党の執政が大衆の支持を得るかどうか、党と社会が共通の価値観を持ち得るかどうか。目下の中国は、右と左に分裂しており、今後その亀裂が拡大するのか、縮小するのか、十九大の指導思想によって決まってくる。

 習近平の“指導思想”を簡単に言えば、“中国の夢”と“四つの全面(ややゆとりある社会の全面的構築、経済などの改革の全面的な深化、法による国家管理の全面的な進展、厳格な党規に沿った党内の全面的な管理)”だ。これが指導思想として党章党規に書き入れられることになると見られているが、江沢民の“三つの代表”、胡錦涛の“科学的発展観”はいずれも彼らが二期目を終える直前の党章党規に書き込まれ、鄧小平理論に至っては鄧小平引退後に、江沢民によって書き込まれたものだ。つまり、習近平は一期総書記を務めただけで自分の思想を党章党規に書き入れようとしている。

 これは習近平の権力がそれだけ強いことを反映しているとも言えるが、問題は党章党規に自分の指導思想を書き入れたとして、大衆がそれに服するか、社会の支持を得られるか、である。

 共産党がいかに己の路線に自信を持ち、制度に自信を持ち、理論に自信を持ち、文化に自信を持っていたとしても、どれほどの説得力があるのか。習近平の指導思想が、中国共産党の硬直した政治観を維持したままであれば、大衆から支持されることはなく、社会の亀裂は深まる一方、ということになる。

 さらに全面的改革の問題。三中全会コミュニケで提示された全面的改革は実際のところ全く実施されていない。十九大以降、改革は再始動するのか。この場合、改革は経済だけではだめだ。社会改革、司法改革、行政改革、政治改革の全面改革が必要で、これが遅れれば遅れるほど、大衆の改革に対する期待は薄れ、それは革命の圧力を大きくする」