イタリア G7サミットの後、米軍基地で演説するトランプ大統領。対中政策はぶれずに進むのか(写真:AP/アフロ)

 トランプ政権が初めて南シナ海で「航行の自由」作戦を実施した。これに中国は大激怒である。続いてイタリア・タオルミナで開催されたG7サミットで採択された首脳コミュニケで、中国を念頭においた東シナ海・南シナ海の非軍事化を再確認する文言が盛り込まれた。

 南シナ海の領有権をめぐる問題では、2016年7月、ハーグ国際仲裁裁判所で中国が全面的に敗北した裁定が出たものの、中国はこれを完全に無視。親中派のフィリピンのドゥテルテ大統領の登場やトランプ政権の北朝鮮問題解決優先姿勢もあって、中国が国際法を無視していることに対しては、国際社会としてさして大きな圧力をかけることはなかった。だが、5月になって、少し情勢が変わってきた。今回のコラムでは、ハーグ裁定から約1年近く経った南シナ海をめぐる国際情勢の変化について、整理しておこうと思う。

中国を念頭に「非軍事化」を要求

 G7の首脳コミュニケでは「我々は、海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されたものを含む国際法の諸原則に基づく、ルールを基礎とした海洋における秩序を維持すること、並びに仲裁を含む外交的及び法的手段を通じた海洋に関する紛争の平和的解決に対するコミットメントを再確認する。我々は、東シナ海及び南シナ海における状況を引き続き懸念し、緊張を高め得るあらゆる一方的な行動に対し強く反対する。我々は、全ての当事者に対し、係争のある地形の非軍事化を追求するよう要求する」との文言が盛り込まれた。中国の名前は入っていないが、中国が念頭にあるのは間違いない。シリア問題や北朝鮮問題、ウクライナ問題に対する部分と比べるとあっさりした表現だが、中国が怒りだすには十分な内容だったとみえる。