台湾と断交したブルキナファソは、中国と国交を樹立した(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 米中関係の駆け引きで、半島問題と通商問題がクローズアップされているが、もう一つ大きな駆け引きが動いている。台湾問題だ。特に米国議会が台湾旅行法を2月末に可決して以降、中国の台湾への圧力外交がすさまじい。台湾旅行法可決直後、中国が英字紙チャイナ・デイリーを使って「戦争の可能性」にまで言及して警告。企業には巨大市場にものをいわせて中国台湾の表記徹底を通達した。またバラマキ外交によって5月だけで台湾と断交させた国家は2カ国となった。

 一方で、トランプ政権は安全保障担当の大統領補佐官に、親台湾派で反中最右翼のジョン・ボルトンを起用して以来、台湾支持の立場を徐々に鮮明にしてきた。米国は台北で6月に落成式を迎える新在台湾事務所の警備に海兵隊を派遣するという話もあり、国防権限法に基づく軍艦の台湾寄港や軍高官の台湾訪問もちらつかせ始めた。台湾をめぐる米中対立はどこに向かうのか。

 台湾の外交関係は4月から5月にかけて激変した。2016年12月にサントメ・プリシンペとの断交が発表され、2017年6月にパナマとの断交が決まった。今年5月1日にはドミニカ、同月24日にブルキナファソが台湾との断交を発表している。中国はブルキナファソに500億ドルの経済援助を持ち掛けてきた。

 台湾外交部長の呉釗燮は、責任を取って辞任の意向を蔡英文総統に伝えたが、慰留されて現職に留まることになった。蔡英文政権になって台湾と断交した国はこれで4カ国。台湾と国交を維持している国家は過去最少の18カ国となった。台湾外交部長は中国の金銭外交が台湾の友好国を奪った、と批判するが国家同士にもともと友情はなく、あるのは利害関係だけである。カリブ海や西アフリカの小国にとってチャイナマネーの魅力に抗うことは難しい。

 3月末にはバチカンも中国との国交回復に動く、という情報が流れたが、これは台湾の司教団のバチカン訪問を伴う必死の働きかけと、バチカンの掲げる信仰の自由の建前を中国側は宗教白書で真向から否定したことで、ぎりぎり踏みとどまったかっこうになった。だが、これも時間の問題かもしれない。次はパラグアイが断交に踏み切るのではないかという予測もあり、台湾の国際生存空間がじりじりと狭まっている。

 また中国は外国の航空会社に台湾表記を「中国台湾」と表記するように4月25日に通達。一カ月以内に応じない場合は行政罰を課すとの圧力を加え、通達を受けた44社のうち18社がすでにこの要請を受け入れた。残りの26社は技術的問題を理由に、変更期限の延期を申し入れているが、7月25日までには変更するとみられている。米国はこれに対して猛抗議を行っている。