これはZTE8万人の雇用が一気に失われるだけでなく、関連企業もふくめた中国の通信端末事業が次世代(5G)市場から締め出されることを意味し、中国の通信覇権の野望にとどめがさされかねない。だが、ここにきてトランプがいきなり、ZTEを救う意向を見せた。これは、中国側がおそらくは水面下でなにか大きな譲歩したことを意味する。私はそれが半島問題ではないか、と見ているのだが、どうだろう。つまり、次の米朝首脳会談では、中国は北朝鮮の味方をしない、ということを了承したのではないか。
北の頼みの綱・プーチンは沈黙
中国が北朝鮮に対し、独自に経済制裁を解くこともせず、突き放す、あるいは米国と共同歩調をとるとなると、米国側のめざす“リビア方式”での非核化実現の可能性が高まってくる。その場合、最終的にリビアのカダフィが、米国の支援する反カダフィ派に殺害された歴史を振り返れば、金正恩としてはいくら体制を保障すると約束されても、体制維持どころか身の安全にすら不安を覚えるだろう。金正恩がそうなったとき頼る相手は、残るはロシアだが、プーチンも今のところは沈黙を守っている。
もし、中国が北朝鮮に与しないで傍観を決め込むとすれば、これは実は中国が唯一の同盟国を裏切るということであり、中国の孤立化が進むことになる。そうなることを予感しているからこそ、中国は、今年になってあからさまな日中関係、中印関係改善に動いている、と解釈できる。
そうなってくると半島問題において「蚊帳の外」と揶揄されてきた日本もプレイヤーとして、米国や中国と駆け引きする必要に迫られてくるだろう。北朝鮮問題において、日本には核廃棄問題のほかに拉致被害者の返還という重要なテーマがある。半島の非核化(CVID)に伴う費用、北朝鮮の経済的支援について、おそらく日本の“財布”が期待されているだろうが、日本が北朝鮮に経済的支援を決める必須条件は、CVIDに加えて拉致被害者100人の一括返還である、という姿勢を崩さないことが重要だろう。これが拉致被害者を取り戻す最後のタイミングになるかもしれない。北朝鮮に拉致された日本人を救う全国協議会(救う会)の西岡力会長によれば、米国サイドはその日本側の意思を理解しているはずだ、という。
Powered by リゾーム?