彼は、プロジェクトは投資方と受け入れ国の需要と供給にマッチすることが大切で、そのために四つの目標を提示している。

 まず、高いレベルのアセスメント、融資および建設と維持を心掛け、プロジェクト実施国の債務負担が重くなりすぎないようにする。入札のプロセスの透明化と私営企業の公平な競争入札を約束し、投資と収益の偏りを避け、より多くの企業の入札を可能とすること。三つ目に、実施国の建設能力を助け、相互利益の発展を心掛け、対外投資を増やすことを支持する。四つ目に、プロジェクトを開放し、私営企業の広い参与を求め、予算オーバーや工期の延期などのリスクを避ける。

主導権狙いか、ビジネス模索か

 この発言をみるに、やはり一帯一路を中国の思惑通りにやらせてなるものか、というニュアンスも感じられる。そもそも中国を知り尽くす安全保障の専門家、中国の天敵のようなポッティンガーを送り込んできたこと自体が、単純に経済協力の文脈だけと思えない。

 オバマ政権時代はTPPでもって中国包囲網を形成するつもりだったが、トランプ政権になってTPPを放棄した代わりに、一帯一路の内部に入り込み、その主導権を中国と争う、ということだろうか。一帯一路の鉄道インフラ建設は港湾建設とともに、もともと中国には軍事建設的意味合いがあり中国企業が全面的に請け負うつもりがあったようだが、もし米企業がコミットすれば、お得意のマルウェアを仕込んだり、いざというときのための仕掛けができるかもしれない、と考えているのだろうか。

 もちろん、そうではなくて、トランプの本質が商人であり、一帯一路構想の“ケーキ”の相伴にあずかりたいだけ、純粋にビジネスチャンスの模索だ、という見方もある。新浪ニュースセンターの報道によれば、中国グローバル化シンクタンク(CCG)主任の王輝耀は「このサミットをきっかけに米国が“一帯一路”で具体的に協力するなら、これは巨大なチャンスになる。…現在の国際的枠組み、例えば国連、世銀、国際通貨基金などほとんどが米国主導だ。米国の経済、軍事、科学技術力がより多くの協力のプラットフォームを提供することになる」と言う。

 つまり、トランプ政権のディール式外交路線によって、価値観やイデオロギーに影響されない実質的な経済利益を追求する「一帯一路枠組み」というものが米中の前方に広がっているのではないか、という期待を寄せている。

 いずれにしろ、米国の態度、戦略はオバマ政権とは180度変化してきている。日本もその変化に応じて、自国の利益や立ち位置を考えながら新しい戦略を考えなければならないだろう。

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