急成長してきた安邦保険集団。習近平政権が急ブレーキをかける意図とは(写真:AP/アフロ)

 中国の代表的“紅色企業”安邦保険集団が揺れている。

 紅色企業とは、革命に参加した主要ファミリーが経営や資本にかかわっている企業を指すが、この企業のCEOは鄧小平の孫娘・鄧卓芮の婿・呉小暉。つまり、鄧小平一族の企業という、中国最強と見られる免罪符を持っていた。しかも、中国建国十大元帥のひとり陳毅の息子・陳小魯も董事を務めている。鄧小平と陳毅という最強の革命ファミリーの名前を背景に、呉小暉は“中国のバフェット”と呼ばれる手腕で一民間企業・安邦集団を巨大化し、中国2位の保険収入を誇るまでに成長させた。

 だが、この安邦の躍進に習近平がブレーキをかけている。その意図はどこにあるのだろうか。

保監会が処罰、財新が暗部報道

 5月5日午後、中国保険監督管理委員会(保監会)は安邦保険集団傘下の安邦人寿保険株式会社に対して、三カ月の新規製品の発売禁止処分を決定した。これは安邦人寿の発売する安享5号というハイリスクユニバーサルライフ保険が、規制・監督を逃れて市場秩序を乱しているなど、二種類の保険商品に違反が見られたことに対する処罰ということになっている。

 その前の4月、安邦による米保険会社のフィデリティ・ギャランティ生命買収などに保監会がストップをかけた。香港紙蘋果日報によれば、安邦の海外資産比率が高すぎるのが理由という。キャピタルフライトを食い止めるために、中国当局が海外投資を抑制しているにもかかわらず、安邦が言うことを聞かないので、本格的に圧力をかけ始めた、と見られている。

 一方、この動きに呼応するように中国の国際経済情報紙・財新週刊が安邦保険の暗部に関するキャンペーン報道を張ったが、呉小暉はこの報道が事実無根、名誉棄損として財新傳媒集団の主筆で著名女性ジャーナリスト、胡舒立に対して訴訟を起こすと言い始めている。