いろいろな予定の合間に、ふらりと訪れただけなので、駆け足で、ざっくりと様子を見ただけだが、中国の対北朝鮮制裁で、経済的にはかなり落ち込んだようだが、金正恩の電撃訪中後は、禁輸解禁間近、という期待が高まっている。

漂う北朝鮮への親近感

 琿春は90年代から国連開発計画が主導する図們江地域国際合作開発の拠点であり、近年は習近平の打ち出す一帯一路構想の極東アジアにおける起点都市の名乗りをあげている。

 たとえば、中国の衣料品メーカーが北朝鮮に工場を作って北朝鮮の安価な労働力を利用して製造する、という出国加工が進められているが、それをそのまま北朝鮮の不凍港である羅津港から中国南部に輸送したり、あるいは輸出することもできたりすれば、陸のシルクロード、海のシクロードともに中国極東の起点となる。北朝鮮の核問題で、中朝関係が冷え込むと、こうした構想も暗礁に乗り上げてしまう。増えかけていた琿春への投資にもブレーキがかかり、街全体に停滞感が漂っていた。

 だが、金正恩が訪中し中朝トップ会談を実現し、続いて南北会談、そして米朝会談を行うことになるということで、この国際合作開発への期待はにわかにぶり返している。防川風景景勝区にいたる国道などで道路拡張工事も行われていた。

 朝鮮族が人口の4割以上を占めるこの町では、北京の中国中央政府よりも、共通言語と共通文化背景を持つ北朝鮮のほうに親近感を感じる人も多く、海産物禁輸が実施されて間もないころは、経済への打撃もあって、中央政府の反感が高まっていたと聞く。外交政策への抗議運動も起きたことがあった。それも、中朝関係の緊張が緩めば、多少緩和されるかもしれない。

 さて、来る南北会談、それに続く米朝会談を前に、金正恩は核実験施設の廃棄を発表。これを金正恩が核廃棄に前向きな姿勢を示したとポジティブに受け取る人もいるが、金正恩の口調からすれば、すでに核兵器保有国になったので、実験施設は必要ない、という宣言にも聞こえる。一部では、中朝国境に近い核実験施設を廃棄することで、中国に配慮を示して、米朝会談においては中国に援護射撃を期待したい考えだ、という見方もある。