次に、誰がVOAにインタビューを中断させたのか、という問題である。要するに、米国政府が関わっているのかどうか。トランプ政権が、郭文貴をどう扱おうとしているのか、である。それによっては、習近平政権がひっくり返る可能性も、習近平政権の長期独裁に貢献する可能性もあるのだ。

送還されれば死刑の可能性も

 中国外交部と駐米大使館がVOAに対して、番組の内容がどのようなものか説明を求めていることは、番組中、キャスターが漏らしている。だが、中国当局から圧力がかかるのは想定の範囲内だ。仮にも米議会からの資金提供も受けている天下のVOAが中国当局だけの圧力に屈することがあるだろうか。

 華字ネットメディアの明鏡ニュースは、国務省やホワイトハウスがVOAに圧力をかけた形跡はなく、あくまでVOAのハイレベルの独自判断で打ち切りを決定した、という情報を出した。VOAサイドが国際指名手配者を擁護するように受け取られたくないと判断した、という見方だ。

 だが、そこに米国が北朝鮮の核問題で中国の協力を強く要請しているという米中関係の成り行きが忖度されていない、とも限らない。

 華字メディアの中では国際的にも非常に信頼されていたVOAは、このインタビュー中断で、いたくファンをがっかりさせ、メディアの信頼を落としてしまった。VOAともあろうものが、中国の圧力に屈するのか、と非難轟々である。

 もっとも、今やメディアは既存のラジオやテレビ、新聞だけではない。郭文貴はインタビューが中断されて以降もツイッターで、中国共産党のハイレベルの汚職の実態を発信し続けている。「『反腐敗筆頭人物』はプライベートジェットにトップモデルを帯同している。そのモデルは1時間16万元で契約、飛行機の上で狂ったようにご乱交だ」などと、内容はだんだん下品なゴシップ調になってきているが。

 中国国内では、中国メディアが郭文貴の汚職のものすごさをこれでもかと、一斉に報道している。もし、米国が彼を中国に送還することがあれば、死刑は免れ得ない。

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