習近平のこの演説の中身をざっと振り返る。まず2018年が改革開放40周年であり、フォーラム開催地の海南省に経済特区が建設されて30周年であるという話を皮切りに、改革開放路線を継続拡大していくことを強調。「中国は対外開放は基本国策として堅持する」「中国人民が今日自信をもって言えることは、改革開放は中国の第二次革命であり、中国を大きく改変するだけでなく世界に深い影響を与えるものだ」と主張。

「中国人民は継続して世界とともに行き、人類のさらなる大きな貢献のために、平和発展の道を堅持し、グローバルパートナーシップ関係を積極的に発展させ、多極主義を堅持し、グローバルシステムの変革に積極的に参与し、新たな国際関係を構築し、人類運命共同体構築を推進する」「中国の発展がどの程度であれ、誰かの脅威となることも、現行の国際システムを転覆することも、勢力範囲を打ち立てようと陰謀を弄することもない。中国は終始世界の平和の建設者であり、グローバル発展の後継者であり、国際秩序の擁護者なのだ」としたうえで、金融市場の開放、自動車など製造業における外資参入制限の緩和、投資環境の改善、知財権保護の強化、貿易不均衡是正のための輸入自動車関税の大幅引き下げなどを約束。さらに「一帯一路」政策について、「中国は地政学博打のそろばんをはじくつもりもなく、排他的な地域グループを構築するつもりでもなく、強制的に商売を押し付けるものでもない。……一帯一路は経済グローバル化の潮流に最も広範に適応した国際協力プラットフォームであり、各国人民をさらに幸福をもたらすものだ」と訴えた。

 この演説を、フィリピンのドゥテルテ大統領、シンガポールのリー・シェンロン総理が絶賛。IMFのラガルド専務理事は「習近平の提唱する開放的な態度を称賛する」と自分の演説で語り、潘基文国連事務総長やパスカル・ラミー元WTO事務局長らも熱烈な拍手を送った。

「国進民退」現象が進む中国

 確かに素直に内容をよめば、素晴らしくて、本当に中国が市場開放を拡大し、グローバル経済の新たな旗手として新たなビジネスチャンスを生み出してくれるのだ、と期待する人もいるだろう。だが、よくよく考えてみると、習近平政権は2012年に政権を受け継いで以降、似たようなことを言い続けているのだ。発言内容自体にあまり新鮮味はない。

 そして過去6年を振り返り、習近平政権が実際にどのような経済政策をとってきたかをみれば、演説で言うようなことは何一つ実施していないのだった。

 この6年、習近平政権がやってきたことは、市場を一層管理することであった。経済活動に対する共産党と政府の干渉は増えている。国有企業改革は民営化の方向で進められず、私営企業の活動はむしろ退行を迫られる「国進民退」現象が進んでいる。口でいくら改革開放拡大をうたっても、実際は鄧小平が進めてきた改革開放路線に逆行している。

 一帯一路に至っては、過剰な債務を負わせて地政学的要衝地に港湾や鉄道などのインフラを建設させるも、当事国が債務不履行に陥ると、インフラ施設の租借権そのものを差し押さえるという、ひと昔前の帝国主義の植民地獲得の再現みたいなことをやり始めている。これをグローバル経済のプラットフォームと言うなら、グローバル経済そのものの定義が従来のものと全く違う、ということになろう。