筆頭は、党総書記にして国家主席の習近平の姉・斉橋橋の夫、つまり義兄の鄧家貴。彼はカナダ籍で、1996年に斉橋橋と結婚。もともと不動産企業家として優秀であったが、習近平のコネをフルに使って、レアアース利権などにも食い込み、胡錦濤政権時代の2004年にバージン諸島にオフショア企業を設立。これは習近平が政治局常務委員会(最高指導部)入りした2007年に登記が削除されるが、2009年9月、バージニア諸島のペーパーカンパニー2社、ベストエフェクトエンタープライズとウェルス・ミング・インターナショナルの株主兼取締役となった。この2企業の用途は不明という。

お馴染みの疑惑者リスト、不正蓄財は“常識”

 さらに現役の指導部では、政治局常務委員序列5位で思想宣伝担当の劉雲山の息子嫁の賈麗青、政治局常務委員序列7位で副首相の張高麗の娘婿で香港の企業家・李聖溌がペーパーカンパニーの株主、あるいは取締役員となっている。

 このほか元首相の李鵬の娘の李小琳、元中国政治協商委員会主席・賈慶林の孫娘・李紫丹、元国家副主席・曾慶紅の弟・曾慶淮、胡耀邦の三男・胡徳華という元政治局常務委員も名を連ねている。

 すでに失脚している元重慶市党委書記・薄熙来の妻、谷開来の名前も挙がっている。彼女はバージン諸島に持っていたペーパーカンパニーを通じて南フランスで別荘を購入したりしていた。元愛人で英国人家庭教師のヘイウッドを殺害するに至った動機は、こうしたペーパーカンパニーや資金洗浄について暴露されそうになったからだという。

 さらには毛沢東の孫娘・孔東梅の婿・陳東昇はバージン諸島にキーンベスト・インターナショナルという会社を2011年に設立。彼は中国を代表するオークション企業の嘉徳国際や保険大手の泰康人寿保険の創設者でもある著名企業家であり、2013年の「新財富」誌による長者番付ベスト500では夫婦で50億元の資産を持ち242位というセレブである。

 だが正直な感想を言えば、これら中国要人オフショアリストに大して新鮮味はない。まず中国で不正蓄財や汚職をしていない政治家や公務員はほとんどいない、というのは中国人にとってもチャイナウォッチャーにとってももはや“常識”だからである。ここに出てくる名前は、いわゆる“チャイナゴシップス”では、お馴染みの不正疑惑者の面々である。

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