この無界新聞「習近平引退勧告」公開書簡に絡んで、音信不通となっているのは、賈葭以外にも4人いる。香港蘋果日報によれば、無界新聞のCEOの欧陽洪亮、主筆の黄志傑、そしてセキュリティシステム担当の技術員2人。この情報のネタ元は、人権活動家の北風で、彼はツイッター上でも発信している。

無界新聞は「ハッキングされた」と回答

 事件を振り返ると、無界新聞サイトに習近平の引退を促す公開書簡が掲載されたのは3月4日。書簡中には、習近平政権がとった経済、外交、社会、文化における失策を列挙し、その責任を取って習近平同志は国と党の指導職務を辞任すべきだと主張。

 書簡では「我々は忠誠の共産党員だ。両会(全人代と政治協商会議=国会に相当)開催に際し、我々がこの書簡を送り、あなたに党と国家の指導職務の辞任を要求する。この要求は党の事業、また国家と民族の前途を考慮したものである」とあり、「習近平同志、あなたには党と国家を未来に向かって率いていく能力が備わっていない。総書記の職務に適任ではない。我々は党の事業の発展と国家の長期の安定、あなたとあなたの家族の安全のために、党と国家のすべての職務を辞任し、党中央および全国人民に別の能力者を選ばせて、我々を積極的に未来に導いてもらいたい」と、恫喝を含んだ言葉で結んでいる。

 個人崇拝キャンペーンを始め、自分に批判的な発言をする記者や知識人を次々と失脚させている習近平がこの挑発的な恫喝すら含んだ公開書簡を黙って見過ごすはずはなく、当然犯人探しが始まっている。

 無界新聞サイト側は、国家インターネット情報弁公室の初期の問い合わせには、「ハッキングされた」と回答し、国外の民主活動家や反共産党勢力によるハッキングの可能性を匂わせたが、国家インターネット情報弁公室の技術チームが無界新聞のサーバを分析した結果、外部からのハッキングの痕跡はなく、今のところ、内部犯行説が強い。無界新聞のサーバは「中国で最も安全」と称されるEC最大手のアリババ集団が提供するものであり、確かにハッカーの仕業とは考えにくい。文中の主語が「我々」となっているので、“単独犯”ではないと見られている。