こうしてみると、発展改革委員会の権力が一番はぎとられていることが見て取れると思う。 このことで今後どのような影響がでてくるかといえば、経済においては習近平路線のマクロ政策が妨害を受けずに突き進むことになろう。

 特に金融においては、習近平の経済ブレーンである劉鶴が下馬評どおり副首相となった。人民銀行総裁は劉鶴とは仲のよい易綱が副総裁から順当に上がった。二人とも米国留学経験のある国際派の能力の高い経済金融実務家で本来は市場重視の自由派と見られていたが、習近平政権になってからは新権威主義に傾いているようで、おそらくは市場管理の強化による金融リスクの縮小、通貨政策を使っての対米外交が期待されている第一優先任務ではないだろうか。

 国際社会の劉鶴の注目度は高く、四人選ばれた副首相の中では、ほとんどメディアが劉鶴の名前を筆頭に置き、本来の筆頭副首相である韓正どころか首相の再任が決まった李克強の存在意義まで吹き飛んでしまいそうだ。

帝都の空に降り注ぐのは…

 90年代、首相が李鵬のときに筆頭副首相の朱鎔基が鄧小平の後ろ盾を得て経済政策の主導をとったころを思い出す人もいるようだが、劉鶴は筆頭でもなく、政治局常務委員でもないことを考えれば、この劉鶴報道はやはり異常だ。

 さらに、ヒラ党員でありながら国家副主席となる王岐山の存在感も李克強以上に強くほとんどの国内外メディアが習王体制、と呼んでいる。過去の政権は、胡温体制(胡錦濤・温家宝)、江朱(江沢民・朱鎔基)体制という風に、国家主席と首相がセットで呼ばれていた。

 今回の全人代における憲法修正、機構改革、人事の最大の犠牲者は李克強かもしれない。生真面目な彼は、まだ腐敗や汚職の噂と無縁だが、習近平が国務院をコントロール下に置くようになれば、李克強やその派閥の共青団派に対する粛清が始まるのではないか、と物騒な想像がわいてくる。

 帝都の空に降り注ぐのは、白い雪ではなくて、粛清の冤罪官僚の赤い血かもしれない。

 2017年10月に行われた中国共産党大会。政治局常務委員の7人“チャイナセブン”が発表されたが、新指導部入りが噂された陳敏爾、胡春華の名前はなかった。期待の若手ホープたちはなぜ漏れたのか。また、反腐敗キャンペーンで習近平の右腕として辣腕をふるった王岐山が外れたのはなぜか。ますます独裁の色を強める習近平の、日本と世界にとって危険な野望を明らかにする。
さくら舎 2018年1月18日刊

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