自然資源部で海洋進出戦略

 具体的にみると国土資源部、国家海洋局(名前は残る)、国家測量地理情報局は解体・吸収され、新たに自然資源部に統合された。これは海洋進出戦略を重視しての統合とみられる。環境保護部は生態環境部に名称を変え、国家発展改革委員会が持つ気候変動および温暖化ガス取り引きの職責や国土資源部の権限であった水汚染への監督監視職責、水利部の水利用計画・排水口管理、流域の環境汚染、農業部の農業汚染管理監督、国家海洋局の海洋汚染、国務院南水北調プロジェクト建設委員会の環境保護責任など、他省庁にまたがっていた環境汚染監督管理の職責を一手に担うことになった。特に発展改革委から温暖ガス取り引き利権を引きはがして吸収して、部としての権限は大きく拡大した。

 農業部を農業農村部と名称を変え、発展改革委、財政部、国土資源部、水利部にまたがっていた地方投資(農村投資)プロジェクト管理の権限を吸収。いわゆる農村の土地開発利権を発展改革委と国土資源部から引きはがした。農業部がもともと持っていた漁船の監督管理は交通運輸部に吸収された。文化部と国家旅游局は文化旅游局に統合され、文化・ソフトパワー戦略を文化・観光市場秩序の監督管理を強化。観光部門を統合することで中華文化の対外輸出“走出去”戦略も強化される。また国家衛生計画出産委員会、全国老齢対策委員会弁公室などが解体され、国家衛生健康委員会が新設され、少子高齢、大衆衛生、重大疾病予防などの職責を統合する。

 科学技術部も再構築され、AI、IT、フィンテックを中心とした科学技術経済戦略、科学技術立国戦略を推進するために権限が強化された。国外の技術頭脳の取り込みなどの権限も担う。司法部も権限が強化され、国務院法制弁公室を吸収。国務院三峡ダムプロジェクト員会及び弁公室、国務院南水北調プロジェクト委員会および弁公室は解体され、水利部に吸収された。腐敗や水増しが多いと非難されていた審計署(会計審査署)のシステムは見直しされた。また、憲法でも新たに規定された国家監察委員会の新設に伴って監察部、国家腐敗予防局が解体された。このほか、退役軍人軍属の社会保障、合法権利の強化を図るための退役軍人事務部、災害時の統一的対応指揮をとる応急管理部が新設された。

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