「移民」「中国脱出」は日本のせいではない

 いろいろな見方もあり、精日と普通の日本オタクとの区別もあいまいではあるが、一つ言えるのは、この精日が全人代で取りざたされ、新たな法律をつくってまで取り締まろうという流れは、日本文化愛好者や親日家を弾圧し、日本文化の影響力を排除する社会状況を作りかねない。

 そもそも、“精日”に限らず、今、できることなら中国人をやめたい、外国籍をとって外国に暮らしたいとひそかに考えている中国人は急増している。それは、憲法修正案が発表されたその日に、多くのネットユーザーが一斉に「移民」のキーワードで検索をかけた、という事からもうかがえるし、少なからぬ日本に留学や研究に来ている中国人が「中国脱出」を真剣に検討していることも知っている。誰だって、言論も不自由で、個人の財産や人権が正しく保障されていない独裁国家で子供を産み育てたいとは思わない。

 だいたい、“精日”によって中華民族の尊厳が傷つけられた、のではなく、中国人をやめてしまいたいと多くの人民が思うような状況を作り出した今の政権に“偉大なる中華民族”を指導する力や正統性の方に問題があるのだ。いちいち、何でも日本のせいにしなければ、その正統性が維持できない政権ならば、いずれその脆弱性は表面化すると、私は見ている。

 2017年10月に行われた中国共産党大会。政治局常務委員の7人“チャイナセブン”が発表されたが、新指導部入りが噂された陳敏爾、胡春華の名前はなかった。期待の若手ホープたちはなぜ漏れたのか。また、反腐敗キャンペーンで習近平の右腕として辣腕をふるった王岐山が外れたのはなぜか。ますます独裁の色を強める習近平の、日本と世界にとって危険な野望を明らかにする。
さくら舎 2018年1月18日刊